「ここか」
バイバナル商会カルブラ伯爵領支部。こちらのほうが何だか大きい感じがするわね。
王国の規模はお嬢様との勉強で学んだものの、何か地図や資料を見ての勉強じゃなかったからいまいちわからない。だから、バイバナル商会は各地に支部がある大きな商会ってしかわからないのよね……。
ただまあ、その領地で他の支店と見比べたら商会の規模はそれなりに理解は出来るけどね。
「確かに王国で三番目ってのもわかるわね」
左右にさらに大きな商会があり、わたしから見て右のお店は建物や敷地が広く、左のお店は何の屋敷かと思うくらい豪奢。間のバイバナル商会は一般人向けの活気あるお店って感じだわ。
「ルーデッヒ商会とライグルス商会が並んでいるなんて珍しいわね」
敷地がのがルーデッヒ商会。豪奢な屋敷がライグルス商会みたいよ。
てか、トップ3が並ばして大丈夫なの? 利用するお客さんは違うみたいだけど、カルブラ伯爵領って、商会が儲けるほど大きいの?
「キャロ、入らないの?」
長いこと考えていたようでルルが頭に乗ってきて猫パンチされてしまった。
「う、うん。入ろっか」
お客さんたちに混ざり店内に入った。
……なんだかスーパーマーケットみたいな感じね……。
店内の広さは病院のコンビニの三──いや、四倍はありそうね。いろんな商品が並んでおり、スーパーマーケットってよりホームセンターって感じかしら? まあ、ホームセンター行ったことないからよくわかんないけど。
食料品もあることはあるけど、加工品ばかり。生鮮品はないわ。それは市場と住み分けしてるのかしら?
スーパーマーケット的な感じならどこかにサービスカウンター的なところがあるはず。どこですか~? あ、あった。
サービスカウンター的なところにいる品のよさそうな男性にコンミンド伯爵領から来たことを告げた。
「あなたが。本当にお若い方だったのですね」
わたしたちのことが伝わっていたようだけど、伝達方法が口伝や手紙くらい。姿を見なけりゃ信じられないでしょうよ。
「はい。まだまだ未熟者です」
「ふふ。なるほど。謙虚な方だ。奥へどうぞ」
わたしたちが小娘でも丁寧な対応はバイバナル商会の教えなのかしら?
サービスカウンター的なところから奥に入ると、商談スペース的なところだった。
……大口取引はここで、ってことなのかな……?
「わたしは、支部長のクルスです。以前、レンラさんの下で働いていました」
「レンラさん、もしかしてバイバナル商会でもかなり上の方なんですか?」
「あの方はバイバナル家の本家の方です。四男でしたが、仕事が出来る方で、王都の本店を任されていたときもありました」
「それで決定権が高かったんですね」
わたしのような小娘の話を信じて決定を下すとか不思議だったのよね。本家の人なら納得だわ。
「あ、依頼された品です」
そんな話はあと。まずは依頼された金属板をクルスさんに渡した。
「確かに受け取りました。依頼署名書を出しますね」
へー。そんなのを書くんだ。なあなあにはしないんだね。
依頼署名書ってのをもらい、内容を確認。サインだけじゃなくバイバナル商会の判も押すんだ。
「それをなくさないでマルケルに渡してください」
ん? クルスさんの口調に首を傾げた。
「もしかして、マルケルさんとは仲がいいんですか?」
「マルケルが侮るなとは書いていましたが、なるほど、あなたを見た目で判断したらダメですね」
いや、見た目で判断してくれてかまわないのですが。前世の知識をプラスしても人生経験はクルスさんにまったく届いてないんだからね。
「マルケルとは同期です。バイバナル商会に入ったときから出世を争っていました」
「クルスさんが勝ったんですか?」
コンミンド伯爵領よりカルブラ伯爵領のほうが大きい。出世したと言うならクルスさんのほうでしょうよ。
「そうですね。評価はわたしのほうが上でしょう。ですが、運のよさはマルケルのほうが上だったようですね。あなたと出会えたのですから」
あん? わたしと出会えたことが運がいいの? わたし、マルケルさんに何かした?
「きっとマルケルは近いうちに王都に戻るでしょう」
「そうなんですか? それは残念です。マルケルさんには何かとお世話になっているのに」
何だかんだとわたしの要望に答えてくれている。そんな人がいるとなると寂しいものだわ……。
「わたしがマルケルに勝てないと思うところはそこですね」
うん? そこ? そこってどこよ?
「いえ、忘れてください。キャロルさんたちらすぐにお帰りになるのですか?」
「いえ、しばらく滞在しようかと。初めてのところですし、いろいろ見て回りたいので」
「それなら我が商会を拠点にしてください。従業員の部屋が空いてますので。もちろん、お代はいりませんよ。あなた方はバイバナル商会にたくさんの利益をもたらしてくれてますからね。好きなだけ利用してください」
「そんな悪いですよ」
さすがにタダは不味いでしょ。いくらか出しますよ。
「まったく悪くはありません。マルケルからもあなた方をよろしく頼むと言われていますからね」
「どうしようか?」
一応、ティナにも訊いてみる。答えはわかっているけどさ。
「キャロが決めていい」
「では、お世話になります」
お金をもらってもらえないのならお手伝いでもさせてもらいましょうか。
バイバナル商会カルブラ伯爵領支部。こちらのほうが何だか大きい感じがするわね。
王国の規模はお嬢様との勉強で学んだものの、何か地図や資料を見ての勉強じゃなかったからいまいちわからない。だから、バイバナル商会は各地に支部がある大きな商会ってしかわからないのよね……。
ただまあ、その領地で他の支店と見比べたら商会の規模はそれなりに理解は出来るけどね。
「確かに王国で三番目ってのもわかるわね」
左右にさらに大きな商会があり、わたしから見て右のお店は建物や敷地が広く、左のお店は何の屋敷かと思うくらい豪奢。間のバイバナル商会は一般人向けの活気あるお店って感じだわ。
「ルーデッヒ商会とライグルス商会が並んでいるなんて珍しいわね」
敷地がのがルーデッヒ商会。豪奢な屋敷がライグルス商会みたいよ。
てか、トップ3が並ばして大丈夫なの? 利用するお客さんは違うみたいだけど、カルブラ伯爵領って、商会が儲けるほど大きいの?
「キャロ、入らないの?」
長いこと考えていたようでルルが頭に乗ってきて猫パンチされてしまった。
「う、うん。入ろっか」
お客さんたちに混ざり店内に入った。
……なんだかスーパーマーケットみたいな感じね……。
店内の広さは病院のコンビニの三──いや、四倍はありそうね。いろんな商品が並んでおり、スーパーマーケットってよりホームセンターって感じかしら? まあ、ホームセンター行ったことないからよくわかんないけど。
食料品もあることはあるけど、加工品ばかり。生鮮品はないわ。それは市場と住み分けしてるのかしら?
スーパーマーケット的な感じならどこかにサービスカウンター的なところがあるはず。どこですか~? あ、あった。
サービスカウンター的なところにいる品のよさそうな男性にコンミンド伯爵領から来たことを告げた。
「あなたが。本当にお若い方だったのですね」
わたしたちのことが伝わっていたようだけど、伝達方法が口伝や手紙くらい。姿を見なけりゃ信じられないでしょうよ。
「はい。まだまだ未熟者です」
「ふふ。なるほど。謙虚な方だ。奥へどうぞ」
わたしたちが小娘でも丁寧な対応はバイバナル商会の教えなのかしら?
サービスカウンター的なところから奥に入ると、商談スペース的なところだった。
……大口取引はここで、ってことなのかな……?
「わたしは、支部長のクルスです。以前、レンラさんの下で働いていました」
「レンラさん、もしかしてバイバナル商会でもかなり上の方なんですか?」
「あの方はバイバナル家の本家の方です。四男でしたが、仕事が出来る方で、王都の本店を任されていたときもありました」
「それで決定権が高かったんですね」
わたしのような小娘の話を信じて決定を下すとか不思議だったのよね。本家の人なら納得だわ。
「あ、依頼された品です」
そんな話はあと。まずは依頼された金属板をクルスさんに渡した。
「確かに受け取りました。依頼署名書を出しますね」
へー。そんなのを書くんだ。なあなあにはしないんだね。
依頼署名書ってのをもらい、内容を確認。サインだけじゃなくバイバナル商会の判も押すんだ。
「それをなくさないでマルケルに渡してください」
ん? クルスさんの口調に首を傾げた。
「もしかして、マルケルさんとは仲がいいんですか?」
「マルケルが侮るなとは書いていましたが、なるほど、あなたを見た目で判断したらダメですね」
いや、見た目で判断してくれてかまわないのですが。前世の知識をプラスしても人生経験はクルスさんにまったく届いてないんだからね。
「マルケルとは同期です。バイバナル商会に入ったときから出世を争っていました」
「クルスさんが勝ったんですか?」
コンミンド伯爵領よりカルブラ伯爵領のほうが大きい。出世したと言うならクルスさんのほうでしょうよ。
「そうですね。評価はわたしのほうが上でしょう。ですが、運のよさはマルケルのほうが上だったようですね。あなたと出会えたのですから」
あん? わたしと出会えたことが運がいいの? わたし、マルケルさんに何かした?
「きっとマルケルは近いうちに王都に戻るでしょう」
「そうなんですか? それは残念です。マルケルさんには何かとお世話になっているのに」
何だかんだとわたしの要望に答えてくれている。そんな人がいるとなると寂しいものだわ……。
「わたしがマルケルに勝てないと思うところはそこですね」
うん? そこ? そこってどこよ?
「いえ、忘れてください。キャロルさんたちらすぐにお帰りになるのですか?」
「いえ、しばらく滞在しようかと。初めてのところですし、いろいろ見て回りたいので」
「それなら我が商会を拠点にしてください。従業員の部屋が空いてますので。もちろん、お代はいりませんよ。あなた方はバイバナル商会にたくさんの利益をもたらしてくれてますからね。好きなだけ利用してください」
「そんな悪いですよ」
さすがにタダは不味いでしょ。いくらか出しますよ。
「まったく悪くはありません。マルケルからもあなた方をよろしく頼むと言われていますからね」
「どうしようか?」
一応、ティナにも訊いてみる。答えはわかっているけどさ。
「キャロが決めていい」
「では、お世話になります」
お金をもらってもらえないのならお手伝いでもさせてもらいましょうか。