「……ゴブリンがいる世界なんだ……」
ちょっと緩めなファンタジーワールドかと思ったらコテコテのファンタジーワールドだったようだわ。
緑色の肌に醜い顔。身長は一メートルくらい。どこで手に入れたかわからない体格にあった剣と革鎧。文化水準高くね? って突っ込みが入ってるのが聞こえて来そうだわ。
「亜人が出るなんて珍しいわね」
ティナのリュックサックが定位置となったルルが「へー」って驚いているわ。
「そんなに珍しい存在なの?」
「狩られる存在だからね。冒険者の前に出てくることはないわ。女子供の前なら別だけど」
「わたしたち、狙われちゃってる!?」
ゴブリンでスレイヤーなファンタジーワールドなの?!
「女子供の肉が好きなみたいよ」
あ、食人鬼的なほうね。イヤらしいほうじゃないんだ。
「じゃあ、殺しても構わないね」
八匹に囲まれているのに一切怯えもしないティナが槍を構えた。
「いいわよ。でも、剣や革鎧に傷付けないでね。売れそうだから」
誰が着るんだかはわからないけど、ゴブリンの技術を知りたいからいただけるものはいただいておきましょう。
「ボク、触りたくないんだけど」
「わたしがやるわよ」
変に潔癖になっちゃったんだから。猪とか鹿とか解体しているのに。
「汚さないようにね」
「わかってる──」
ゴブリンがどれほど強いかわからないけど、ティナの防具には防御強化を施し、槍には切れ味強化を施してある。八匹いても負けることはないでしょう。
素早い動きでゴブリンたちを翻弄し、大振りで首を一刀両断。ちゃんと噴き出す血に注意しながら地面に倒していた。
……わたしもスプラッター慣れしてきたわね……。
獣を解体しているから首狩り族となっているティナを平然と見ていられるわ。
五分もしないでゴブリンたちは全滅。安らかにお眠りください。南無南無。
「さて。身ぐるみ剥いじゃおうか」
「どっちが襲撃者かわからないわね」
「この世は弱肉強食なのよ」
このファンタジーワールドで冒険をしようってなら強くなるしかない。わたしは食うほうの立場になってやるんだから。
「お、このゴブリン、メスじゃない。ゴブリン界はメスが強いのかしら?」
革鎧を外したらおっぱいが出てきたよ。アマゾネス的な種族なのかしら?
「ちょっと写生しておきましょうか」
「趣味悪いよ」
「趣味じゃなく学術的によ。せっかく珍しい亜人に会ったんだから記録しておかないとね」
体は人間と変わらない。亜人って呼ばれるのもよくわかるわ。内臓はどうかしら?
「ちょっ、止めておきなよ!」
「嫌なら火を焚いておいて。終わったらお風呂に入りたいからさ。ルル。わたしの体に薄い結界をかけて。ちゃんと動けるくらいによ」
「わたしの結界、何でもありじゃないからね」
「わかっているって」
チートかと思った結界も、出来ることと出来ないことがあった。お湯を沸かす結界とか冷やせる結界とか無理だったわ。
病原菌対策で薄い膜の結界を纏ってもらい、ゴブリンを解体し始めた。
「中も人と変わらないのね」
まあ、そこまで人体に詳しいってわけじゃないけど、心臓の位置や形、胃があって腸がある。胃の中には肉や木の実が入っていた。
「雑食ではあるんだね」
肉食ってわけじゃないようだし、なんか調理してないか? 思った以上に文明文化は高そうだ。
解体してないゴブリンの臭いを嗅ぐと、そこまで酷くはない。垢もそこまで溜まってない。水浴びしているのかしら?
「亜人、かなり知能が高いっぽいわね」
「村を作るくらいには知能があると言われているわよ」
「そうね。縫製技術もなかなかのものだし、人間並みに知恵がありそうだわ」
針や糸もしっかりしている。これを自分たちで作るなら相当なものよ。
「殺しちゃ不味かったかしら?」
「襲ってきたのはこいつらなんだから構わないわよ。こいつらは人間を襲うんだから」
それもそうね。襲われて慈悲を掛けてやるほど優しくないしね。
他のゴブリンも腹を割いて確認。あ、こいつはオスだ。アレがある。これはちょっと似てるかわからないわ。見たことないし。
「亜人とか言われるのもよくわかるわ。人間によく似てるもの」
人間が何かの原因でこうなっちゃったのかしら? ファンタジーは理不尽が多いから困ったものよね……。
「こんなものかしらね」
専門家でもないのでわかるだけの情報は紙に書き、絵に出来ることは絵にした。
「ルル。これに薄く結界を纏わせて」
「わたしの力、いいように使ってくれるわね」
「力は使ってこそよ」
あるのなら使う。利用する。ただし、悪いことには使わない。でも、必要なら躊躇いなく使いましょう、よ。
「ティナ、お風呂沸いてる?」
「沸いてるよ」
ルルに結界を解いてもらい、服を脱いでお風呂に入った。あ、燃やしてから入るんだったわね。
「ルル。亜人に結界を纏わせて燃やしておいてよ」
「まったく。猫使いが酷いんだから」
「肉塊になった側で食事したくないでしょ。がんばって」
わたしは平気だけど、ティナが心底嫌そうな顔をしている。ティナに乗らしてもらっているんだからそのくらいやってちょうだい。
「ハァー。わかったわよ」
よろしく~。
ちょっと緩めなファンタジーワールドかと思ったらコテコテのファンタジーワールドだったようだわ。
緑色の肌に醜い顔。身長は一メートルくらい。どこで手に入れたかわからない体格にあった剣と革鎧。文化水準高くね? って突っ込みが入ってるのが聞こえて来そうだわ。
「亜人が出るなんて珍しいわね」
ティナのリュックサックが定位置となったルルが「へー」って驚いているわ。
「そんなに珍しい存在なの?」
「狩られる存在だからね。冒険者の前に出てくることはないわ。女子供の前なら別だけど」
「わたしたち、狙われちゃってる!?」
ゴブリンでスレイヤーなファンタジーワールドなの?!
「女子供の肉が好きなみたいよ」
あ、食人鬼的なほうね。イヤらしいほうじゃないんだ。
「じゃあ、殺しても構わないね」
八匹に囲まれているのに一切怯えもしないティナが槍を構えた。
「いいわよ。でも、剣や革鎧に傷付けないでね。売れそうだから」
誰が着るんだかはわからないけど、ゴブリンの技術を知りたいからいただけるものはいただいておきましょう。
「ボク、触りたくないんだけど」
「わたしがやるわよ」
変に潔癖になっちゃったんだから。猪とか鹿とか解体しているのに。
「汚さないようにね」
「わかってる──」
ゴブリンがどれほど強いかわからないけど、ティナの防具には防御強化を施し、槍には切れ味強化を施してある。八匹いても負けることはないでしょう。
素早い動きでゴブリンたちを翻弄し、大振りで首を一刀両断。ちゃんと噴き出す血に注意しながら地面に倒していた。
……わたしもスプラッター慣れしてきたわね……。
獣を解体しているから首狩り族となっているティナを平然と見ていられるわ。
五分もしないでゴブリンたちは全滅。安らかにお眠りください。南無南無。
「さて。身ぐるみ剥いじゃおうか」
「どっちが襲撃者かわからないわね」
「この世は弱肉強食なのよ」
このファンタジーワールドで冒険をしようってなら強くなるしかない。わたしは食うほうの立場になってやるんだから。
「お、このゴブリン、メスじゃない。ゴブリン界はメスが強いのかしら?」
革鎧を外したらおっぱいが出てきたよ。アマゾネス的な種族なのかしら?
「ちょっと写生しておきましょうか」
「趣味悪いよ」
「趣味じゃなく学術的によ。せっかく珍しい亜人に会ったんだから記録しておかないとね」
体は人間と変わらない。亜人って呼ばれるのもよくわかるわ。内臓はどうかしら?
「ちょっ、止めておきなよ!」
「嫌なら火を焚いておいて。終わったらお風呂に入りたいからさ。ルル。わたしの体に薄い結界をかけて。ちゃんと動けるくらいによ」
「わたしの結界、何でもありじゃないからね」
「わかっているって」
チートかと思った結界も、出来ることと出来ないことがあった。お湯を沸かす結界とか冷やせる結界とか無理だったわ。
病原菌対策で薄い膜の結界を纏ってもらい、ゴブリンを解体し始めた。
「中も人と変わらないのね」
まあ、そこまで人体に詳しいってわけじゃないけど、心臓の位置や形、胃があって腸がある。胃の中には肉や木の実が入っていた。
「雑食ではあるんだね」
肉食ってわけじゃないようだし、なんか調理してないか? 思った以上に文明文化は高そうだ。
解体してないゴブリンの臭いを嗅ぐと、そこまで酷くはない。垢もそこまで溜まってない。水浴びしているのかしら?
「亜人、かなり知能が高いっぽいわね」
「村を作るくらいには知能があると言われているわよ」
「そうね。縫製技術もなかなかのものだし、人間並みに知恵がありそうだわ」
針や糸もしっかりしている。これを自分たちで作るなら相当なものよ。
「殺しちゃ不味かったかしら?」
「襲ってきたのはこいつらなんだから構わないわよ。こいつらは人間を襲うんだから」
それもそうね。襲われて慈悲を掛けてやるほど優しくないしね。
他のゴブリンも腹を割いて確認。あ、こいつはオスだ。アレがある。これはちょっと似てるかわからないわ。見たことないし。
「亜人とか言われるのもよくわかるわ。人間によく似てるもの」
人間が何かの原因でこうなっちゃったのかしら? ファンタジーは理不尽が多いから困ったものよね……。
「こんなものかしらね」
専門家でもないのでわかるだけの情報は紙に書き、絵に出来ることは絵にした。
「ルル。これに薄く結界を纏わせて」
「わたしの力、いいように使ってくれるわね」
「力は使ってこそよ」
あるのなら使う。利用する。ただし、悪いことには使わない。でも、必要なら躊躇いなく使いましょう、よ。
「ティナ、お風呂沸いてる?」
「沸いてるよ」
ルルに結界を解いてもらい、服を脱いでお風呂に入った。あ、燃やしてから入るんだったわね。
「ルル。亜人に結界を纏わせて燃やしておいてよ」
「まったく。猫使いが酷いんだから」
「肉塊になった側で食事したくないでしょ。がんばって」
わたしは平気だけど、ティナが心底嫌そうな顔をしている。ティナに乗らしてもらっているんだからそのくらいやってちょうだい。
「ハァー。わかったわよ」
よろしく~。