「ねぇ。歩かないとダメなの?」
ティナのリックサックの上に乗るルルが呆れたように尋ねてきた。
「あまり楽を覚えると冒険がタダの旅行になっちゃうからね、よほどのことがない限り歩きで行くわよ」
これも修行。心身ともに鍛えないと堕落した人生になりそうだわ。
カルブラ伯爵領までは歩いて五、六日。次の領までは三日。それまで村はあるけど、宿次第で泊まるかどうか決めるわ。
「キャロ、絵まで描けたんだ」
村の様子を絵にしていると、ティナが呆れるような顔をした。基本、無表情なのに表情は豊かだったりするのよね、この子って……。
「そこまで上手くはないけどね」
わたしの腕なんてお絵描きレベル。これで食べて行けるほどの腕じゃないわ。
「やっぱり木炭じゃ上手く描けないわね」
紙も画用紙のような質でもない。描き難くて──あ、そっか。自動書記的な付与を施せばいいんじゃない?
木炭で作ったクレヨン(?)に見たものを描き写せる付与をイメージして施してみた──ら、出来ちゃった。うん、まあ、結果オーライってことで納得しておきましょう。
自動書記──自動写生付与が出来たことにより、紙の消費が早い早い。こりゃ、途中で買い足さないとカルブラ伯爵領までもたないわね。
「キャロ、お昼にしよう」
最初の村はまだコンミンド伯爵領なので、買った地図には載ってはいない。グー○ルが欲しいわ。
あれ? わたしの付与魔法ならドローンとか作れそうじゃない?
って、今は旅に集中しましょう。あれもこれもでは目的を見失うわ。まずはお使いをまっとうするとしましょう。
コンミンド伯爵領を出たらしばらくは村はない。と言っても一日の距離なので途中で野宿(結界部屋でだけど)。次の日にはマクブル男爵領に入った。
お隣さんの領だけど、この領は小さく、村って規模だ。ただ、宿場町的な感じなのでなかなか賑わっていた。
「そう言えば、ティナって剣を持たなくていいの?」
今は職人さんたちが片手間に作ってくれた槍を使い、山刀を腰に差している。ちなみにわたしは鉈を腰に差し、これまた職人さんたちが片手間に作ってくれたナイフを装備しているわ。
「うーん。本格的な剣術なんて知らないし、獣を狩るなら槍で充分かな」
まあ、ティナは剣士とかじゃなく狩人みたいなもの。人と戦うタイプじゃない。する必要もない。槍のほうがいいのかもしれないわね。
「でも、弓は欲しいかな」
「弓って高いの?」
「自作ならタダだけど、職人が本気で作った弓は高い」
へー。そうなんだ。まあ、お金はあるんだし、欲しいなら買うのもいいでしょうよ。
お昼を食べたらちょっと休んで出発。暗くなる前に次の村に到着出来た。
ここはそこまで大きな村ではないので宿はあまりなく、わたしたちが泊まれるような宿は雑魚寝部屋くらいだった。
「どうする?」
「野宿しようか」
自分の身は自分で守らないといけない時代。誰ともわからない雑魚寝部屋は危険すぎるでしょう。これなら山で野宿したほうが安全だわ。
「ルル、お願い」
暗い森の中に入ったらルルにネコバス化してもらい、山の山頂まで走ってもらった。
そこで火を焚き、作り置きのお弁当を食べたら結界で湯船を作ってもらい、アイテムバッグ化させた水筒からお湯を結界湯船に流した。
「どこでもお風呂に入るのね」
お風呂に入らないルルが呆れている。
西洋人っぽい見た目のわたしたちだけど、毎日お風呂に入ってもこれと言った異常はない。髪も艶が出ているし、抵抗力が下がったってこともない。健康な毎日を送っているわ。逆に一日入らないとベタついた気分になるわ。
誰も周りにいないので構わず服を脱ぎ、体を洗ってから湯船に入った。ふぃー。
「ルル、見張りをお願いね」
一応、結界は張ってもらったけど、覗かれるのは嫌だしね、見張ってもらうとしましょう。
「何だか冒険らしくないな」
「まあ、こんな冒険もあっていいじゃないの」
これはこれ。あれはあれよ。人間、都合よく生きなくちゃ。
「冷めてきたね」
やっぱり沸かしてないから冷めるのも早いわね。追い焚き機能、考えないとダメよね。
そこまで長湯はしないでお湯から上がり、焚き火の前でのんびり山葡萄ジュースを飲んだ。
明日のために早めに就寝。朝になったら村まで降り、冒険者や旅人相手の屋台で朝食を買って食べた。
「屋台の料理も悪くないわね」
冒険者や旅人が買えるものだからそこまで豪華なものじゃないけど、味は悪くない。これまでの食生活を考えたら中の上って感じだ。
「うーん。ボクはキャロの料理のほうがいいな」
「わたしも」
「仕事先で食べる料理がいいんじゃないの」
土地土地の料理を食べるのも冒険の醍醐味。これも絵にして残しておこうっと。
「他の屋台も回ってみましょうか?」
食べ切れないときは鞄に入れておけばいいんだしね。美味しそうなのは買うとしましょうか。
グルメ旅みたくなっているけど、それもまたよし。こういう体験が出来るから冒険者を目指しているんだしね。
「次は肉が食べたい」
「わたしは、焼いた川魚が食べたい」
二人も賛成のようで食べたいものを言ってきた。
ティナのリックサックの上に乗るルルが呆れたように尋ねてきた。
「あまり楽を覚えると冒険がタダの旅行になっちゃうからね、よほどのことがない限り歩きで行くわよ」
これも修行。心身ともに鍛えないと堕落した人生になりそうだわ。
カルブラ伯爵領までは歩いて五、六日。次の領までは三日。それまで村はあるけど、宿次第で泊まるかどうか決めるわ。
「キャロ、絵まで描けたんだ」
村の様子を絵にしていると、ティナが呆れるような顔をした。基本、無表情なのに表情は豊かだったりするのよね、この子って……。
「そこまで上手くはないけどね」
わたしの腕なんてお絵描きレベル。これで食べて行けるほどの腕じゃないわ。
「やっぱり木炭じゃ上手く描けないわね」
紙も画用紙のような質でもない。描き難くて──あ、そっか。自動書記的な付与を施せばいいんじゃない?
木炭で作ったクレヨン(?)に見たものを描き写せる付与をイメージして施してみた──ら、出来ちゃった。うん、まあ、結果オーライってことで納得しておきましょう。
自動書記──自動写生付与が出来たことにより、紙の消費が早い早い。こりゃ、途中で買い足さないとカルブラ伯爵領までもたないわね。
「キャロ、お昼にしよう」
最初の村はまだコンミンド伯爵領なので、買った地図には載ってはいない。グー○ルが欲しいわ。
あれ? わたしの付与魔法ならドローンとか作れそうじゃない?
って、今は旅に集中しましょう。あれもこれもでは目的を見失うわ。まずはお使いをまっとうするとしましょう。
コンミンド伯爵領を出たらしばらくは村はない。と言っても一日の距離なので途中で野宿(結界部屋でだけど)。次の日にはマクブル男爵領に入った。
お隣さんの領だけど、この領は小さく、村って規模だ。ただ、宿場町的な感じなのでなかなか賑わっていた。
「そう言えば、ティナって剣を持たなくていいの?」
今は職人さんたちが片手間に作ってくれた槍を使い、山刀を腰に差している。ちなみにわたしは鉈を腰に差し、これまた職人さんたちが片手間に作ってくれたナイフを装備しているわ。
「うーん。本格的な剣術なんて知らないし、獣を狩るなら槍で充分かな」
まあ、ティナは剣士とかじゃなく狩人みたいなもの。人と戦うタイプじゃない。する必要もない。槍のほうがいいのかもしれないわね。
「でも、弓は欲しいかな」
「弓って高いの?」
「自作ならタダだけど、職人が本気で作った弓は高い」
へー。そうなんだ。まあ、お金はあるんだし、欲しいなら買うのもいいでしょうよ。
お昼を食べたらちょっと休んで出発。暗くなる前に次の村に到着出来た。
ここはそこまで大きな村ではないので宿はあまりなく、わたしたちが泊まれるような宿は雑魚寝部屋くらいだった。
「どうする?」
「野宿しようか」
自分の身は自分で守らないといけない時代。誰ともわからない雑魚寝部屋は危険すぎるでしょう。これなら山で野宿したほうが安全だわ。
「ルル、お願い」
暗い森の中に入ったらルルにネコバス化してもらい、山の山頂まで走ってもらった。
そこで火を焚き、作り置きのお弁当を食べたら結界で湯船を作ってもらい、アイテムバッグ化させた水筒からお湯を結界湯船に流した。
「どこでもお風呂に入るのね」
お風呂に入らないルルが呆れている。
西洋人っぽい見た目のわたしたちだけど、毎日お風呂に入ってもこれと言った異常はない。髪も艶が出ているし、抵抗力が下がったってこともない。健康な毎日を送っているわ。逆に一日入らないとベタついた気分になるわ。
誰も周りにいないので構わず服を脱ぎ、体を洗ってから湯船に入った。ふぃー。
「ルル、見張りをお願いね」
一応、結界は張ってもらったけど、覗かれるのは嫌だしね、見張ってもらうとしましょう。
「何だか冒険らしくないな」
「まあ、こんな冒険もあっていいじゃないの」
これはこれ。あれはあれよ。人間、都合よく生きなくちゃ。
「冷めてきたね」
やっぱり沸かしてないから冷めるのも早いわね。追い焚き機能、考えないとダメよね。
そこまで長湯はしないでお湯から上がり、焚き火の前でのんびり山葡萄ジュースを飲んだ。
明日のために早めに就寝。朝になったら村まで降り、冒険者や旅人相手の屋台で朝食を買って食べた。
「屋台の料理も悪くないわね」
冒険者や旅人が買えるものだからそこまで豪華なものじゃないけど、味は悪くない。これまでの食生活を考えたら中の上って感じだ。
「うーん。ボクはキャロの料理のほうがいいな」
「わたしも」
「仕事先で食べる料理がいいんじゃないの」
土地土地の料理を食べるのも冒険の醍醐味。これも絵にして残しておこうっと。
「他の屋台も回ってみましょうか?」
食べ切れないときは鞄に入れておけばいいんだしね。美味しそうなのは買うとしましょうか。
グルメ旅みたくなっているけど、それもまたよし。こういう体験が出来るから冒険者を目指しているんだしね。
「次は肉が食べたい」
「わたしは、焼いた川魚が食べたい」
二人も賛成のようで食べたいものを言ってきた。