「……マジか……」
朝、タワシの様子を見に行ったら卵を二つも産んでいた。
「食べられたくないからがんばったのかしらね?」
小屋から出してやり、スカートのポケットに入れた豆を地面に撒いてやると、ガツガツと食べ始めた。
「食べた分だけ産むのかな?」
まあ、いいや。これで卵が食べられるわ。どう調理しようかしら?
卵をつかんでお母ちゃんに見せに行くと、フライパンに油を敷いて目玉焼きを作ってくれた。ジ○リ飯か!?
「美味しい!」
四人いるので半分しか食べられなかったけど、夢に見たパンに目玉焼きを乗せて食べられたよ!
「そうかい。それはよかったね。もっと産むように育てておくれ」
「あんちゃん。ウールって豆以外に何を食べるの?」
「え? あー虫とかじゃないか? 肉食獣に隠れながらとなると虫くらいじゃないと捕まえられないだろうからな」
虫か~。ミミズとかかな?
「湿ったところの石の下によくいるよ。ただ、毒をもっと虫もいるから直接触るなよ。ナクスとかにしろ」
ナクス? あ、あのダンゴムシみたいなヤツか。確かに石の下にいたっけ。
「わかった。探してみるよ」
朝食を終えたら昨日の続きで、大工道具の手入れをする。
「こんなものか」
ボロ布で拭いたり、砥石で研いだりとかしか出来ない。素人のわたしにこれ以上は無理だ。けどまあ、本格的な大工をするわけじゃない。出来そうなことをやるまでよ。
「こんなときアイテムボックスとかあるといいのにな~」
たくさんものが入り、時間停止が出来て、自由自在に出し入れ出来るヤツ。なんならこの鞄でもいいや。アイテムバックになってくれないかしら? 魔法でならないかな~?
「──キャロ! 何こんなところで寝てんだい? 風邪引くよ!」
ふわぁ? え? わたし、寝てた?
お母ちゃんに揺らされて起きたら夕方になっていた。
「まったく。寝るんならうちで寝な。呼んでも答えないからびっくりしただろう」
「ご、ごめんなさい。わたしもわからない間に眠っちゃってた」
疲れて眠っちゃったんだろうか? 全力で大工道具を手入れしてたから? そんなにがんばっていたつもりはないんだけどな~?
──ぐぅ~~!
と、お腹が凄い勢いで鳴き出した。
「まったく。煮た芋があるからお食べ」
「いいの? 明日の分が減ったりしない?」
「芋なんて腐るほどあるんだから遠慮することないよ。また煮たらいいんだから」
そう言えば、朝に大量に茹でていたし、一人何個とも決められていなかったっけ。
「お父ちゃんの畑で作ったヤツ?」
「ああ。あの人、本当に野菜を育てるのが上手いんだよね。不作の年でも豊作だったし」
それは何かの加護とか持ってんじゃないの? うちのお父ちゃん、何者よ?
「あ、お母ちゃん。わたし、芋で料理していい? ちょっと思いついたことがあるんだ。失敗したらタワシ──ウールのエサにするからいいでしょう?」
芋がたくさんあるなら芋餅を作れるんじゃないかな? 小さい頃、おばあちゃんがよく作ってくれたものだ。どんな味かは忘れちゃったけど。
「……あんたって、たまにエグいことさらっと言うよね……」
あん? 何のこと?
「まあ、いいよ。もう十なら料理の一つでも出来てないと困るしね。好きにやってみな」
「ありがとう、お母ちゃん!」
小さな芋をもらい、皮をナイフで向いて適当に切り分け、鍋に水をたっぷり入れて茹でた。
美味しくなれなれ萌え萌えキュン♥️ なんてことを心の中で唱えた。声に出してはさすがに恥ずかしいからね。
茹であがったら木ベラで潰し、片栗粉……はないって言うので小麦粉で代用し、塩を入れて混ぜ混ぜする。
いい感じに混ざったら団子にして小判型に潰した。おばあちゃんはこうしてたのよ。
「それで完成かい?」
「ううん。油で焼くの」
「油はまだ早いからわたしがやるよ」
焼くところまでやりたかったけど、お母ちゃんとしては十歳の子がやるには怖いんでしょうよ。
油を木杓で掬い、フライパンに垂らして芋餅を乗せていった。
さすが主婦。いい感じに焼いてくれ、いい匂いが漂ってきた。
「こんなもんかね」
木皿に移し、一つ味見した。ど、どうなの?
「うん。茹でたのよりいいね。これは、マー油をかけたらイケるんじゃなあか?」
棚の上に置いてある壺を取り、赤黒い液体を芋餅にかけて食べてみた。
「うん。イケるよ!」
「お母ちゃん、わたしも食べたい!」
「あ、ごめんごめん。ちょっと待ってな」
マー油なるものを小皿に移し、そこに芋餅を入れて渡してくれた。
「美味しい! 何これ? 甘辛よ!」
あ、これ、前に食べたことある。肉にも味付けで使っていたんじゃない? 異世界ナメてました! ごめんなさい!
「この辺でよく作られる調味料だね。ハチミツを使うからそう大量には作れないけどさ」
「お母ちゃんが作ったの?」
「マー油を作れてこそ一人前の女だからね。あんたもこの味を覚えて、未来の旦那に食わせてやりな」
未来の旦那はともかく、このマー油があれば料理のバリエーションは増えるわね。いや、そんなに料理知らないけど!
朝、タワシの様子を見に行ったら卵を二つも産んでいた。
「食べられたくないからがんばったのかしらね?」
小屋から出してやり、スカートのポケットに入れた豆を地面に撒いてやると、ガツガツと食べ始めた。
「食べた分だけ産むのかな?」
まあ、いいや。これで卵が食べられるわ。どう調理しようかしら?
卵をつかんでお母ちゃんに見せに行くと、フライパンに油を敷いて目玉焼きを作ってくれた。ジ○リ飯か!?
「美味しい!」
四人いるので半分しか食べられなかったけど、夢に見たパンに目玉焼きを乗せて食べられたよ!
「そうかい。それはよかったね。もっと産むように育てておくれ」
「あんちゃん。ウールって豆以外に何を食べるの?」
「え? あー虫とかじゃないか? 肉食獣に隠れながらとなると虫くらいじゃないと捕まえられないだろうからな」
虫か~。ミミズとかかな?
「湿ったところの石の下によくいるよ。ただ、毒をもっと虫もいるから直接触るなよ。ナクスとかにしろ」
ナクス? あ、あのダンゴムシみたいなヤツか。確かに石の下にいたっけ。
「わかった。探してみるよ」
朝食を終えたら昨日の続きで、大工道具の手入れをする。
「こんなものか」
ボロ布で拭いたり、砥石で研いだりとかしか出来ない。素人のわたしにこれ以上は無理だ。けどまあ、本格的な大工をするわけじゃない。出来そうなことをやるまでよ。
「こんなときアイテムボックスとかあるといいのにな~」
たくさんものが入り、時間停止が出来て、自由自在に出し入れ出来るヤツ。なんならこの鞄でもいいや。アイテムバックになってくれないかしら? 魔法でならないかな~?
「──キャロ! 何こんなところで寝てんだい? 風邪引くよ!」
ふわぁ? え? わたし、寝てた?
お母ちゃんに揺らされて起きたら夕方になっていた。
「まったく。寝るんならうちで寝な。呼んでも答えないからびっくりしただろう」
「ご、ごめんなさい。わたしもわからない間に眠っちゃってた」
疲れて眠っちゃったんだろうか? 全力で大工道具を手入れしてたから? そんなにがんばっていたつもりはないんだけどな~?
──ぐぅ~~!
と、お腹が凄い勢いで鳴き出した。
「まったく。煮た芋があるからお食べ」
「いいの? 明日の分が減ったりしない?」
「芋なんて腐るほどあるんだから遠慮することないよ。また煮たらいいんだから」
そう言えば、朝に大量に茹でていたし、一人何個とも決められていなかったっけ。
「お父ちゃんの畑で作ったヤツ?」
「ああ。あの人、本当に野菜を育てるのが上手いんだよね。不作の年でも豊作だったし」
それは何かの加護とか持ってんじゃないの? うちのお父ちゃん、何者よ?
「あ、お母ちゃん。わたし、芋で料理していい? ちょっと思いついたことがあるんだ。失敗したらタワシ──ウールのエサにするからいいでしょう?」
芋がたくさんあるなら芋餅を作れるんじゃないかな? 小さい頃、おばあちゃんがよく作ってくれたものだ。どんな味かは忘れちゃったけど。
「……あんたって、たまにエグいことさらっと言うよね……」
あん? 何のこと?
「まあ、いいよ。もう十なら料理の一つでも出来てないと困るしね。好きにやってみな」
「ありがとう、お母ちゃん!」
小さな芋をもらい、皮をナイフで向いて適当に切り分け、鍋に水をたっぷり入れて茹でた。
美味しくなれなれ萌え萌えキュン♥️ なんてことを心の中で唱えた。声に出してはさすがに恥ずかしいからね。
茹であがったら木ベラで潰し、片栗粉……はないって言うので小麦粉で代用し、塩を入れて混ぜ混ぜする。
いい感じに混ざったら団子にして小判型に潰した。おばあちゃんはこうしてたのよ。
「それで完成かい?」
「ううん。油で焼くの」
「油はまだ早いからわたしがやるよ」
焼くところまでやりたかったけど、お母ちゃんとしては十歳の子がやるには怖いんでしょうよ。
油を木杓で掬い、フライパンに垂らして芋餅を乗せていった。
さすが主婦。いい感じに焼いてくれ、いい匂いが漂ってきた。
「こんなもんかね」
木皿に移し、一つ味見した。ど、どうなの?
「うん。茹でたのよりいいね。これは、マー油をかけたらイケるんじゃなあか?」
棚の上に置いてある壺を取り、赤黒い液体を芋餅にかけて食べてみた。
「うん。イケるよ!」
「お母ちゃん、わたしも食べたい!」
「あ、ごめんごめん。ちょっと待ってな」
マー油なるものを小皿に移し、そこに芋餅を入れて渡してくれた。
「美味しい! 何これ? 甘辛よ!」
あ、これ、前に食べたことある。肉にも味付けで使っていたんじゃない? 異世界ナメてました! ごめんなさい!
「この辺でよく作られる調味料だね。ハチミツを使うからそう大量には作れないけどさ」
「お母ちゃんが作ったの?」
「マー油を作れてこそ一人前の女だからね。あんたもこの味を覚えて、未来の旦那に食わせてやりな」
未来の旦那はともかく、このマー油があれば料理のバリエーションは増えるわね。いや、そんなに料理知らないけど!