うん。鍛冶の職人さんもやって来てしまった。
「バイバナル商会、大丈夫? 利益出るの?」
そう心配するくらいわたしにお金掛けすぎなんですけど!
大工さんがたくさんやって来て、音が激しいのでちょっと離れたところに鍛冶工房を建て、職人さんたちのお世話をする女の人(おばちゃん)も滞在することになった。
「……村になりそうな勢いよね……」
と言うかわたし、冒険者じゃなく職人扱いされてない? いや、ラルグさんが来てから冒険に出てないけどさ……。
「こんな鍋が欲しかったんですよ」
寸胴鍋があると大量に煮込むことが出来る。人が増えたことで豚骨スープの消費が激しくなったのよね。
「これはいいな。うちにも頼むよ」
いつの間にかやって来た民宿の料理長さんが、寸胴鍋を見て発注した。
「あいよ。弟子に伝えておくよ」
ここはわたしが希望したものを作る工房で、売り出すためのものは工房が集まった村で行うんだってさ。
わたしはお願いする立場になったので、完成した麦麹で味噌を作る実験に集中することにした。
「今度は何を作る気ですか?」
豆を煮ていると、レンラさんがやって来た。
「新しい調味料ですね。豆と麦麹、塩を混ぜて作ろうと思って」
「麦コウジですか?」
「干し葡萄から酵母を作った応用ですね。麦からも酵母、麹が出来るみたいなんですよ。麦麹を作るのが難しかったですが、味噌は……まあ、これからですね。熟成させるのに一年くらい掛かるので食べれるのは来年になりそうですけどね」
わたしも動画で観た程度の知識。試行錯誤するしかないわ。
……ますます冒険が遠退きそうね……。
「あ、干し葡萄の酵母から作った味噌を食べてみますか?」
案外、作れるものなのね。酵母なら何でもいいのかしら? そこら辺の知識がないからさっぱりだわ。
「是非、お願いします」
と言うので、豚骨スープに味噌を混ぜたラーメンモドキを作って食べさせた。
「美味しいですね!」
そうなんだ。わたしもよく出来たとは思うのだけれど、何かイメージしてた味とは違うのよね。やっぱり、食べたことないってネックよね。
「発展は料理長さんに任せます」
わたしにはこれが限界。あとは本職に任せるわ。
工房に戻り、靴下を編む日々を過ごしていると、今年初めての雪が振り出した。
この地方は雪は降るけど、そこまで積もったりはしない。キャロルの記憶では五センチくらい積もったのが最大かしらね?
本当なら冬を越すために用意をするんだけど、うちはバイバナル商会がやってくれるので忙しくはなかった。好きなことに集中出来たのだからそこには感謝ね。
「キャロ。山葡萄酒がいい感じになったよ」
別にティナが味見したわけじゃないよ。ルルが試飲してティナに報告。わたしに伝えたってことよ。
山葡萄酒が保管してある地下室に向かった。
ルルがいることで山葡萄を潰すのも濾すのも自由自在。保管も大きいタンクにして収められている。結界万歳ね。
「ルル。出来はいいの?」
「とてもいいわよ」
普通の猫じゃないとは言え、お酒が飲めるってのも凄いものよね。酔わないのに飲んでて楽しいのかしら?
山葡萄酒作りはティナの家で作っていて、ティナも手伝っていたから完全にお任せ。わたしは、道具の代わりに結界を使う方法を教えただけ。
「結構な量になったわね」
山中の山葡萄を集めたかの量だったからね。樽四つ分くらいにはなるんじゃない? こんなに作ってどうすんのよ?
「まあ、鞄の中に入れて置けばいいわね」
わたしたちが飲める年齢になるまで保管しておけばいいわ。今回の鞄は時間停止を念じて作ったものだからね。五年くらい保管してても大丈夫でしょうよ。
……来年も作ったらとんでもない量にやりそうね……。
「少し、民宿にあげましょうか」
ルルだけじゃなく、他の人の意見も聞いておきましょう。
「あ、ワインソースってのもあったわね」
作り方はわからないけど、野菜を煮たスープにワインと砂糖、クロネ(玉ねぎっぽい野菜)を入れたらそんな感じになりそうな気がする。
まあ、まずは作ってみろね。
それっぽく作ってみて焼いた猪の肉に掛けてみた。まあ、悪くないって感じかしら? ちょっと味に深みがないわ。
「これ好き!」
ティナには好評のようだ。わたしの舌、人とは違うのかしら?
「ルルはどう?」
「美味しいわよ。でもこれは鹿肉のほうがいいかも」
鹿肉か~。鹿は冬眠しないし、よく見るからティナに狩って来てもらいましょうか。
これもここまでがわたしの限界。料理長さんに発展をお願いするとしましょうか。
「ワイン煮込みはどうかしら?」
猪肉を厚鍋で煮てみると、なかなか悪くない出来上がりだった。わたしはこっちのほうが好きかしらね。
「最後のソースをパンで付けて食べるのもいいわね」
「うん。キャロ、カリカリ焼いて」
うちのグルメモンスターは注文が多いわね。まあ、二人の意見はとても参考になるのでパンを焼いてあげた。
「うん。いいわね」
わたしもやってみると結構美味しかった。
これならビーフ(ではないけど)シチューも行けそうね。作り方はまったく知らないけど。
「バイバナル商会、大丈夫? 利益出るの?」
そう心配するくらいわたしにお金掛けすぎなんですけど!
大工さんがたくさんやって来て、音が激しいのでちょっと離れたところに鍛冶工房を建て、職人さんたちのお世話をする女の人(おばちゃん)も滞在することになった。
「……村になりそうな勢いよね……」
と言うかわたし、冒険者じゃなく職人扱いされてない? いや、ラルグさんが来てから冒険に出てないけどさ……。
「こんな鍋が欲しかったんですよ」
寸胴鍋があると大量に煮込むことが出来る。人が増えたことで豚骨スープの消費が激しくなったのよね。
「これはいいな。うちにも頼むよ」
いつの間にかやって来た民宿の料理長さんが、寸胴鍋を見て発注した。
「あいよ。弟子に伝えておくよ」
ここはわたしが希望したものを作る工房で、売り出すためのものは工房が集まった村で行うんだってさ。
わたしはお願いする立場になったので、完成した麦麹で味噌を作る実験に集中することにした。
「今度は何を作る気ですか?」
豆を煮ていると、レンラさんがやって来た。
「新しい調味料ですね。豆と麦麹、塩を混ぜて作ろうと思って」
「麦コウジですか?」
「干し葡萄から酵母を作った応用ですね。麦からも酵母、麹が出来るみたいなんですよ。麦麹を作るのが難しかったですが、味噌は……まあ、これからですね。熟成させるのに一年くらい掛かるので食べれるのは来年になりそうですけどね」
わたしも動画で観た程度の知識。試行錯誤するしかないわ。
……ますます冒険が遠退きそうね……。
「あ、干し葡萄の酵母から作った味噌を食べてみますか?」
案外、作れるものなのね。酵母なら何でもいいのかしら? そこら辺の知識がないからさっぱりだわ。
「是非、お願いします」
と言うので、豚骨スープに味噌を混ぜたラーメンモドキを作って食べさせた。
「美味しいですね!」
そうなんだ。わたしもよく出来たとは思うのだけれど、何かイメージしてた味とは違うのよね。やっぱり、食べたことないってネックよね。
「発展は料理長さんに任せます」
わたしにはこれが限界。あとは本職に任せるわ。
工房に戻り、靴下を編む日々を過ごしていると、今年初めての雪が振り出した。
この地方は雪は降るけど、そこまで積もったりはしない。キャロルの記憶では五センチくらい積もったのが最大かしらね?
本当なら冬を越すために用意をするんだけど、うちはバイバナル商会がやってくれるので忙しくはなかった。好きなことに集中出来たのだからそこには感謝ね。
「キャロ。山葡萄酒がいい感じになったよ」
別にティナが味見したわけじゃないよ。ルルが試飲してティナに報告。わたしに伝えたってことよ。
山葡萄酒が保管してある地下室に向かった。
ルルがいることで山葡萄を潰すのも濾すのも自由自在。保管も大きいタンクにして収められている。結界万歳ね。
「ルル。出来はいいの?」
「とてもいいわよ」
普通の猫じゃないとは言え、お酒が飲めるってのも凄いものよね。酔わないのに飲んでて楽しいのかしら?
山葡萄酒作りはティナの家で作っていて、ティナも手伝っていたから完全にお任せ。わたしは、道具の代わりに結界を使う方法を教えただけ。
「結構な量になったわね」
山中の山葡萄を集めたかの量だったからね。樽四つ分くらいにはなるんじゃない? こんなに作ってどうすんのよ?
「まあ、鞄の中に入れて置けばいいわね」
わたしたちが飲める年齢になるまで保管しておけばいいわ。今回の鞄は時間停止を念じて作ったものだからね。五年くらい保管してても大丈夫でしょうよ。
……来年も作ったらとんでもない量にやりそうね……。
「少し、民宿にあげましょうか」
ルルだけじゃなく、他の人の意見も聞いておきましょう。
「あ、ワインソースってのもあったわね」
作り方はわからないけど、野菜を煮たスープにワインと砂糖、クロネ(玉ねぎっぽい野菜)を入れたらそんな感じになりそうな気がする。
まあ、まずは作ってみろね。
それっぽく作ってみて焼いた猪の肉に掛けてみた。まあ、悪くないって感じかしら? ちょっと味に深みがないわ。
「これ好き!」
ティナには好評のようだ。わたしの舌、人とは違うのかしら?
「ルルはどう?」
「美味しいわよ。でもこれは鹿肉のほうがいいかも」
鹿肉か~。鹿は冬眠しないし、よく見るからティナに狩って来てもらいましょうか。
これもここまでがわたしの限界。料理長さんに発展をお願いするとしましょうか。
「ワイン煮込みはどうかしら?」
猪肉を厚鍋で煮てみると、なかなか悪くない出来上がりだった。わたしはこっちのほうが好きかしらね。
「最後のソースをパンで付けて食べるのもいいわね」
「うん。キャロ、カリカリ焼いて」
うちのグルメモンスターは注文が多いわね。まあ、二人の意見はとても参考になるのでパンを焼いてあげた。
「うん。いいわね」
わたしもやってみると結構美味しかった。
これならビーフ(ではないけど)シチューも行けそうね。作り方はまったく知らないけど。