サナリスクの功績を聞いたらなるほどと納得しか出来ない功績ばかりだった。
「……凄いんですね……」
語彙力が死んじゃったけど、戦闘力、知識力、問題解決能力と、若いのに英雄クラスの人たちじゃない。と言うか、問題に遭遇してばかりじゃない? 竜と戦って生き残れるとか意味わからないわ。なんて主人公の集まりよ?
「運が悪いだけさ。おれたちとしてはもっと安全に仕事をこなして稼ぎたいだけだからな」
まあ、冒険もほどほどが一番。毎回ギリギリな冒険なら心身がボロボロになっちゃうわ。わたしは、おもしろおかしくなる冒険を心掛けるようにしようっと。
「あ、鞄が作りたいので革をいただけますか? 背中に背負うものを二人分作るのでたくさんいただけると助かります」
「鞄ならうちでも売ってますよ」
「いえ、大容量の鞄なので自分で作ります」
わたしが思う鞄と売っている鞄では全然違うのよね。
「キャロルさんが作るものなら画期的なんでしょうね。完成したら見せてください」
「鞄ですよ? 画期的なことなんてありませんよ」
わたしは別に発明家ってわけじゃない。そんな画期的なことなんて考え付かないわよ。
材料を用意してもらった。
「革と革をくっつける溶剤ってありますかね?」
「ありますよ。カワニシキと呼ばれる木の樹液で作るものです」
固めた樹液と獣の油、そして、硫黄を混ぜて作るらしい。考えた昔の人に感謝です。
「ついでだから靴も作っちゃおうかな?」
今履いているものはサンダルに布を縫ったもので、防御力があまりないのよね。革で作れば……あ、鉄板を仕込めば安全靴になるかも。
「キャロルさんは、何でも自分で作ってしまいますね」
「自分で作ったほうが体に合ったものが作れますから」
成長期なので少し大きめに作らないとダメかもね。
今は百三十センチくらい。小柄なわたしだけど、これから十センチは伸びることを想定して作らないと。さらに身長が伸びたらまた作ればいいわ。
「完成を楽しみにしていますよ」
そこまで期待されても困るんだけどな~。
材料がかなりの量になってしまったので、マッチを取りに来るついでに持って来てもらうことにした。
「リュードさんたちはどうします? 帰ります?」
「そうだな。どうする?」
「暗くなるまで時間もないし、帰るか。腹も減ったし」
「あ、お酒は買って行くといいですよ。うちは安い麦酒しか置いてないので」
水代わりにワインを飲むってあるけど、ここは水が豊富で綺麗なのでワインは高めなのよね。
「じゃあ、買って行くか」
「マルケルさん、瓶詰めのをお願いします」
ワインは壺に分けて売るスタイルだけど、瓶に詰めたワインも売っているのよ。まあ、その分高いけどね。
「はい。どのくらい必要ですか?」
「三十本くらい頼む」
「三十本ですか? それならキャロルさんの荷物と運びますか?」
「いや、おれらで運ぶから大丈夫です」
鞄のことは秘密だしね、そう言うしかないわよね。
二つの木箱に入ってワインが運ばれて来たので、リュードさんとアルジムさんが持って帰ることにした。
「では、また来ますね」
「はい。お体にお気を付けて」
バイバナル商会をあとにし、途中で鞄にワインを詰め込んだ。
「やっぱり便利だな」
「そうだな。これだけ入れたのに重さが感じない」
異空間に入っているからね、重さは鞄の重さしかないわ。
「他に知られないようにしないといけないのが面倒ですけどね。リュードさんたちなら問題ないでしょう」
わたしたちでは守ることも出来ないしね。
「いや、おれたちも秘密にするさ。魔法の鞄を欲しがるヤツはいるからな」
「そうだな。擬装する必要があるかもな。お嬢ちゃんが持っていた鞄だと知っているヤツは多そうだから」
確かにわたしはいつも肩から下げていたしね。それがリュードさんたちが下げていたら何かと思うか。
「まあ、盗まれないよう気を付けてください」
「お嬢ちゃんは本当にあっさりしているよな。魔法の鞄がなくなったというのに」
「不自由もまた楽しいものですよ」
今のわたしは五体満足。加えて付与魔法を授かった。出来なかったことが出来るようになったのよ。なら、やるしかないじゃない。出来ることをたくさん見つけるだけよ。
「お嬢ちゃんは変わっているな」
「そうですね。それもまたよしです」
変わっているなら人とは違う人生を楽しめるってことだもの。全然気にしないわ。
「変わっているだけじゃなく強くもあるか」
「お嬢ちゃんの周りに人が集まるのもよくわかるよ」
何だかよくわからないけど、褒められいるのはわかる。ちょっと気恥ずかしいわね……。
気恥ずかしさに堪えながら実家に帰り、リュードさんたちが買ったワインをいくつかもらい、湯上がりに飲めるよう井戸水で冷やしてあげた。
しばらくしてお風呂に入って来たリュードさんたちによく冷えたワインを出してあげた。
「冷えた葡萄酒もいいもんだな」
「ああ。これはクセになる」
「地面から泡の出る水って見たことありますか?」
この世界にも炭酸水はあるはず。山葡萄と混ぜて飲んでみたいわ。前世では炭酸ジュースって飲めなかったからね。
「ああ。あるぞ。貴族の間では果汁を入れて飲んでいるって話だ」
それはいい情報を聞いた。また冒険に出る楽しみが出来たわ。
「……凄いんですね……」
語彙力が死んじゃったけど、戦闘力、知識力、問題解決能力と、若いのに英雄クラスの人たちじゃない。と言うか、問題に遭遇してばかりじゃない? 竜と戦って生き残れるとか意味わからないわ。なんて主人公の集まりよ?
「運が悪いだけさ。おれたちとしてはもっと安全に仕事をこなして稼ぎたいだけだからな」
まあ、冒険もほどほどが一番。毎回ギリギリな冒険なら心身がボロボロになっちゃうわ。わたしは、おもしろおかしくなる冒険を心掛けるようにしようっと。
「あ、鞄が作りたいので革をいただけますか? 背中に背負うものを二人分作るのでたくさんいただけると助かります」
「鞄ならうちでも売ってますよ」
「いえ、大容量の鞄なので自分で作ります」
わたしが思う鞄と売っている鞄では全然違うのよね。
「キャロルさんが作るものなら画期的なんでしょうね。完成したら見せてください」
「鞄ですよ? 画期的なことなんてありませんよ」
わたしは別に発明家ってわけじゃない。そんな画期的なことなんて考え付かないわよ。
材料を用意してもらった。
「革と革をくっつける溶剤ってありますかね?」
「ありますよ。カワニシキと呼ばれる木の樹液で作るものです」
固めた樹液と獣の油、そして、硫黄を混ぜて作るらしい。考えた昔の人に感謝です。
「ついでだから靴も作っちゃおうかな?」
今履いているものはサンダルに布を縫ったもので、防御力があまりないのよね。革で作れば……あ、鉄板を仕込めば安全靴になるかも。
「キャロルさんは、何でも自分で作ってしまいますね」
「自分で作ったほうが体に合ったものが作れますから」
成長期なので少し大きめに作らないとダメかもね。
今は百三十センチくらい。小柄なわたしだけど、これから十センチは伸びることを想定して作らないと。さらに身長が伸びたらまた作ればいいわ。
「完成を楽しみにしていますよ」
そこまで期待されても困るんだけどな~。
材料がかなりの量になってしまったので、マッチを取りに来るついでに持って来てもらうことにした。
「リュードさんたちはどうします? 帰ります?」
「そうだな。どうする?」
「暗くなるまで時間もないし、帰るか。腹も減ったし」
「あ、お酒は買って行くといいですよ。うちは安い麦酒しか置いてないので」
水代わりにワインを飲むってあるけど、ここは水が豊富で綺麗なのでワインは高めなのよね。
「じゃあ、買って行くか」
「マルケルさん、瓶詰めのをお願いします」
ワインは壺に分けて売るスタイルだけど、瓶に詰めたワインも売っているのよ。まあ、その分高いけどね。
「はい。どのくらい必要ですか?」
「三十本くらい頼む」
「三十本ですか? それならキャロルさんの荷物と運びますか?」
「いや、おれらで運ぶから大丈夫です」
鞄のことは秘密だしね、そう言うしかないわよね。
二つの木箱に入ってワインが運ばれて来たので、リュードさんとアルジムさんが持って帰ることにした。
「では、また来ますね」
「はい。お体にお気を付けて」
バイバナル商会をあとにし、途中で鞄にワインを詰め込んだ。
「やっぱり便利だな」
「そうだな。これだけ入れたのに重さが感じない」
異空間に入っているからね、重さは鞄の重さしかないわ。
「他に知られないようにしないといけないのが面倒ですけどね。リュードさんたちなら問題ないでしょう」
わたしたちでは守ることも出来ないしね。
「いや、おれたちも秘密にするさ。魔法の鞄を欲しがるヤツはいるからな」
「そうだな。擬装する必要があるかもな。お嬢ちゃんが持っていた鞄だと知っているヤツは多そうだから」
確かにわたしはいつも肩から下げていたしね。それがリュードさんたちが下げていたら何かと思うか。
「まあ、盗まれないよう気を付けてください」
「お嬢ちゃんは本当にあっさりしているよな。魔法の鞄がなくなったというのに」
「不自由もまた楽しいものですよ」
今のわたしは五体満足。加えて付与魔法を授かった。出来なかったことが出来るようになったのよ。なら、やるしかないじゃない。出来ることをたくさん見つけるだけよ。
「お嬢ちゃんは変わっているな」
「そうですね。それもまたよしです」
変わっているなら人とは違う人生を楽しめるってことだもの。全然気にしないわ。
「変わっているだけじゃなく強くもあるか」
「お嬢ちゃんの周りに人が集まるのもよくわかるよ」
何だかよくわからないけど、褒められいるのはわかる。ちょっと気恥ずかしいわね……。
気恥ずかしさに堪えながら実家に帰り、リュードさんたちが買ったワインをいくつかもらい、湯上がりに飲めるよう井戸水で冷やしてあげた。
しばらくしてお風呂に入って来たリュードさんたちによく冷えたワインを出してあげた。
「冷えた葡萄酒もいいもんだな」
「ああ。これはクセになる」
「地面から泡の出る水って見たことありますか?」
この世界にも炭酸水はあるはず。山葡萄と混ぜて飲んでみたいわ。前世では炭酸ジュースって飲めなかったからね。
「ああ。あるぞ。貴族の間では果汁を入れて飲んでいるって話だ」
それはいい情報を聞いた。また冒険に出る楽しみが出来たわ。