肉料理と言っても調味料や道具がない状態では作るものは決まってくる。と言うか、作るものは決まっています。カツサンドを作るのです。
油はあるので猪のロース的な肉を揚げて食パンに挟んだ。
「甘辛マー油がいい味出しているわね」
「……こんな美味いものがこの世にあったんだな……」
試食をお願いしたルイックさんが感涙している。そんなにか? てか、どんな食生活だったのかしら? 昨日は必死に食べてたけど。
「確かに美味いな」
この世界のエルフさんは菜食主義ってわけじゃなく肉を好んで食べている。関心なさそうにしているけど、それ二つ目。かなり気に入っているようだわ。
鞄は時間がゆっくり流れているようなので、出来たものは乾かした笹に包んで入れておく。
三十個を作ったところで食パンが切れてしまった。あとは、豚汁の材料と焼き肉用に小分けにしておく。
午後になって三人で薪集めをする。
アタッカーなルイックさんだけに木を一本簡単に伐り倒し、わたしは手斧で枝を払い、アルジムさんは倒れた木を手頃なサイズに切った。
一時間もしないでシェルターに運び切れないほどの薪が出来てしまった。
「うちに持ち帰るか」
樵を雇い、定期的に薪を集めているから運ぶ必要もないのだけど、帰る途中にもシェルターを作ってある。そこに置くとしましょうかね。
ティナたちが帰って来るまで時間がありそうなので近くに生っている山菜を採ることにした。
「山芋なんてあったんですか」
アルジムさんが太くて長い山芋を採って来てくれた。
「これはすりおろして薄切りした肉に掛けるとしましょうか」
ご飯に掛けて食べるみたいだけど、ご飯がないのだから別の方法でいただくとしましょうか。
試作品を作ってみて二人に食べてもらう。
「うめー!」
「うん。いい」
どうやら合うようだ。いつかお米を見つけて山芋のすりおろしを掛けて食べてみたいものだわ。この世界にお米があることを切に願います。
採った山菜を揚げていると、ティナたちが帰って来た。どうだった?
「依頼分は何とか採れたよ」
「それはなによりです。帰るんですか?」
「ああ。三人で話し合ったが、魔法の鞄を売って欲しい」
「わかりました。じゃあ明日、帰りますか。わたしたちの家まで来てください」
山葡萄はまだ先っぽいし、一旦帰って新しい鞄を作るとしましょうかね。
「水も溜めておいたので汗を流してください。薪はいっぱいあるのでお湯にしてもいいですよ」
力持ちのルイックさんに新しい竈を作ってもらったのでお湯沸かし用にしたのよ。今度、煉瓦を持って来てお風呂でも作ろうかしら?
明日は早めに出発するので午前中に作ったカツサンドとすりおろした山芋を掛けたマー油炒めの肉にたものを出した。
「明日の朝の分もあるからほどほどにしてくださいね」
どんだけ飢えてんのかしら? 高位冒険者になっても美味しいものを食べられないって大変な時代みたいね……。
何とか明日の朝の分は残せて、早めに眠りについた。
今日中に帰れるように夜明けとともに起きて出発。湧水があるところで朝食にし、三十分くらい休んだら発った。
やはり高位冒険者。歩くことが商売とばかりに疲れる姿を見せない。わたしは付いて行くのがやっとだわ。ヒィーしんど。
「狼の群れだ」
こ、こんなときに!? タイミング悪いんだから!
「お、いい毛並みじゃないか。狩るとしようぜ」
「そうだな。あれなら高く売れそうだ」
「キャロルとティナはそこにいろ。アルセクス、頼む」
もしかしてわたし、気を使われた?
「お前たちは隠れていろ。すぐ終わるから」
気を使われたとしてもわたしにどうこうすることも出来ないので木の陰に隠れ、鞄から水筒を出して水分を補給した。
アルセクスさんの言うとおり、十分くらいで終わってしまった。
「四匹逃したか。なかなか賢い群れだったな」
戦いを見ていたようで、狼の群れをそう称していた。
「そう言えば、わたしたちって狼と会ったことなかったね」
「それはルルが威圧してたから」
「そうなの?」
「にゃ~」
そうだとばかりに鳴くルル。全然知らなかったわ。
「出て来ていいぞ」
アルジムさんの声で木の陰から出ると、頭から尻尾まで三メートルはある黒い毛の狼が五体も転がっていた。
「デッカ! こんなのがいるんだ!
「どこからか流れて来たんだろう。ここでは見ない種類の狼だ」
流れて来る獣や狼、多くない? 何かそれ以上の魔物が暴れているとかなの?
「二人とも。今日はここで野宿する。用意してくれ」
さすがにこのサイズじゃ手間が掛かるか。今日中に終わるかもわからないわね。
「ティナ。その辺を刈ってちょうだい」
山の斜面なので野宿するのは大変だけど、運のいいことに小川が流れていた。狼の解体をするには問題ないでしょうよ。
「狼って食べられるの?」
「食べれないことはないが、あまり美味いものではないな」
「腿のところを切ってもらっていいですか? 試しに調理してみたいので」
背負い籠は空いている。あのくらいなら持って帰れるはずだ。
「わかった。もう片方は血抜きして塩で食うか。美味くはないが、肉が食えるからな」
美味しくないものでも食べられるなら食うって感じか。冒険者はワイルドなのね。
油はあるので猪のロース的な肉を揚げて食パンに挟んだ。
「甘辛マー油がいい味出しているわね」
「……こんな美味いものがこの世にあったんだな……」
試食をお願いしたルイックさんが感涙している。そんなにか? てか、どんな食生活だったのかしら? 昨日は必死に食べてたけど。
「確かに美味いな」
この世界のエルフさんは菜食主義ってわけじゃなく肉を好んで食べている。関心なさそうにしているけど、それ二つ目。かなり気に入っているようだわ。
鞄は時間がゆっくり流れているようなので、出来たものは乾かした笹に包んで入れておく。
三十個を作ったところで食パンが切れてしまった。あとは、豚汁の材料と焼き肉用に小分けにしておく。
午後になって三人で薪集めをする。
アタッカーなルイックさんだけに木を一本簡単に伐り倒し、わたしは手斧で枝を払い、アルジムさんは倒れた木を手頃なサイズに切った。
一時間もしないでシェルターに運び切れないほどの薪が出来てしまった。
「うちに持ち帰るか」
樵を雇い、定期的に薪を集めているから運ぶ必要もないのだけど、帰る途中にもシェルターを作ってある。そこに置くとしましょうかね。
ティナたちが帰って来るまで時間がありそうなので近くに生っている山菜を採ることにした。
「山芋なんてあったんですか」
アルジムさんが太くて長い山芋を採って来てくれた。
「これはすりおろして薄切りした肉に掛けるとしましょうか」
ご飯に掛けて食べるみたいだけど、ご飯がないのだから別の方法でいただくとしましょうか。
試作品を作ってみて二人に食べてもらう。
「うめー!」
「うん。いい」
どうやら合うようだ。いつかお米を見つけて山芋のすりおろしを掛けて食べてみたいものだわ。この世界にお米があることを切に願います。
採った山菜を揚げていると、ティナたちが帰って来た。どうだった?
「依頼分は何とか採れたよ」
「それはなによりです。帰るんですか?」
「ああ。三人で話し合ったが、魔法の鞄を売って欲しい」
「わかりました。じゃあ明日、帰りますか。わたしたちの家まで来てください」
山葡萄はまだ先っぽいし、一旦帰って新しい鞄を作るとしましょうかね。
「水も溜めておいたので汗を流してください。薪はいっぱいあるのでお湯にしてもいいですよ」
力持ちのルイックさんに新しい竈を作ってもらったのでお湯沸かし用にしたのよ。今度、煉瓦を持って来てお風呂でも作ろうかしら?
明日は早めに出発するので午前中に作ったカツサンドとすりおろした山芋を掛けたマー油炒めの肉にたものを出した。
「明日の朝の分もあるからほどほどにしてくださいね」
どんだけ飢えてんのかしら? 高位冒険者になっても美味しいものを食べられないって大変な時代みたいね……。
何とか明日の朝の分は残せて、早めに眠りについた。
今日中に帰れるように夜明けとともに起きて出発。湧水があるところで朝食にし、三十分くらい休んだら発った。
やはり高位冒険者。歩くことが商売とばかりに疲れる姿を見せない。わたしは付いて行くのがやっとだわ。ヒィーしんど。
「狼の群れだ」
こ、こんなときに!? タイミング悪いんだから!
「お、いい毛並みじゃないか。狩るとしようぜ」
「そうだな。あれなら高く売れそうだ」
「キャロルとティナはそこにいろ。アルセクス、頼む」
もしかしてわたし、気を使われた?
「お前たちは隠れていろ。すぐ終わるから」
気を使われたとしてもわたしにどうこうすることも出来ないので木の陰に隠れ、鞄から水筒を出して水分を補給した。
アルセクスさんの言うとおり、十分くらいで終わってしまった。
「四匹逃したか。なかなか賢い群れだったな」
戦いを見ていたようで、狼の群れをそう称していた。
「そう言えば、わたしたちって狼と会ったことなかったね」
「それはルルが威圧してたから」
「そうなの?」
「にゃ~」
そうだとばかりに鳴くルル。全然知らなかったわ。
「出て来ていいぞ」
アルジムさんの声で木の陰から出ると、頭から尻尾まで三メートルはある黒い毛の狼が五体も転がっていた。
「デッカ! こんなのがいるんだ!
「どこからか流れて来たんだろう。ここでは見ない種類の狼だ」
流れて来る獣や狼、多くない? 何かそれ以上の魔物が暴れているとかなの?
「二人とも。今日はここで野宿する。用意してくれ」
さすがにこのサイズじゃ手間が掛かるか。今日中に終わるかもわからないわね。
「ティナ。その辺を刈ってちょうだい」
山の斜面なので野宿するのは大変だけど、運のいいことに小川が流れていた。狼の解体をするには問題ないでしょうよ。
「狼って食べられるの?」
「食べれないことはないが、あまり美味いものではないな」
「腿のところを切ってもらっていいですか? 試しに調理してみたいので」
背負い籠は空いている。あのくらいなら持って帰れるはずだ。
「わかった。もう片方は血抜きして塩で食うか。美味くはないが、肉が食えるからな」
美味しくないものでも食べられるなら食うって感じか。冒険者はワイルドなのね。