歩くことに慣れたと思っていたけど、道のない山を歩くのはやっぱり違うわ。もう横っ腹が痛いわ。
「……体力って大切なのね……」
もう何度目かわからない休憩をして、流れる汗を拭った。
「谷に下りたし、ここで野営しよう」
「う、うん、そうしようか」
ティナは山歩きに慣れているから汗一つかいてないわ。わたしがその域に到達するのは遥か先みたいね……。
「ボクは鳴子を仕掛けてくる」
「うん。わたしは火を焚いておくね」
マッチと枯れ枝があるのですぐに火がつき、持ってきた薪をくべた。
「ルル。見張りお願いね」
「はーい」
と、木に登って枝の上に寝そべった。
ルルは結界だけじゃなく攻撃手段も持っている。狼の群れくらい簡単に撃退出来たわ。
小川で汗を拭い、焚き火で体を温めたら夕食の準備に取り掛かった。
「キャロから休んでいいよ。ボクはまだ眠くないから」
見張りはその日の体調で決めておいたので、夕食を食べたらすぐに横になって眠りについた。
夜中に起きてティナと交代。また朝方ルルと交代する。
冒険は体力勝負なので、太陽が山の上に出たら出発した。
ウルカがなる山はそこなので、探しながら山を登った。
「結構生っているね」
山の中腹からここが群生地だとばかりにたくさん生っていて、山頂に着く前に背負い籠二つ分にはなってしまった。
「これ以上は使い切れないし、他の山菜を探そうか」
一生分のウルカを採ってしまった。これ以上は無駄になるから止めておきましょう。
「うん。じゃあ、ウグを採ろう」
ウグとはゼンマイ? ワラビ? みたいな植物で、先っちょだけ食べるらしい。
「天ぷらにしてみようか」
他の食べ方がわからないので天ぷらで食べてみることにする。
谷に下りて野営した場所で天ぷらを作る用意を開始。何だかんだと料理しちゃうわたし。これじゃキャンプに来てるみたいだわ。
「苦い山菜も天ぷらにすると美味しくなるから不思議ね」
猫が天ぷらを食べているのが一番の不思議だと思うけど、それはもう今さらか。何でも食べる猫なんだしね。
「そう言えば、獣が出て来ないね?」
実りの秋。いろんな獣が出て来ても不思議じゃないのに、まったく姿を見てないわ。
「秋は人も山に入るから獣は奥に逃げるか隠れるかしているんだと思う。山の奥に行けば食べるものもあるから」
「獣もバカじゃないってことか」
まあ、肉はまだあるし、出なくても問題ないか。山羊やウールも飼い始めたしね。
「ウグって他にどう食べるの?」
「鍋に入れるか塩漬けにしてたかな?」
そのぐらいしかないか。でも、マヨネーズ和えとかいいかもね。主食になるようなものじゃないし、和え物的で構わないでしょう。
マヨネーズはあるので出して付けて食べてみた。
「これはもう好みの問題ね」
予想出来る味なので、よくも悪くもないって感じだ。
「マヨネーズにウグをまぶしてはどうかしら? 唐揚げに付けると美味しいと思うわ」
誰よりもグルメなルル。味を合わせる想像も出来るようになっているわ。
「それは美味しいかも!」
ティナも味が想像出来たようで目を輝かせているわ。
「じゃあ、帰ったらやってみましょうか」
その日は早めに就寝。昨日同じ番で交代をして朝早く帰宅の徒に着いた。
冒険の修業になったの? とか家に着いてから思いはしたものの、終わりよければそれでよし。楽しかった、で構わないでしょうよ。
「お帰りなさい。成果はどうでした?」
「ウルカとウグがたくさん採れました。たくさんあるので使ってください」
ティナが背負っている籠を渡した。
「こんなによろしいので?」
これは鞄に入れた分をカモフラージュするためのものなので、わざと多いほうを渡したのよ。
「構いませんよ。まだたくさん生っていたので。シメたウールってあります? 料理に使いたいんですよ」
「はい。構いませんよ。何を作るんです?」
「唐揚げです。マヨネーズにウルカを混ぜて食べようかと思いまして」
「──では、うちで作りましょう」
と、民宿の料理長たるゴルックさんがわたしたちの間に入って来た。
「いいんですか?」
とはレンラさんに尋ねる。民宿の主だからね。
「どうぞどうぞ。わたしも食べてみたいですからね」
許可が下りたので、まずは家に戻ってお風呂に入って綺麗にし、料理に適した服に着替えて民宿の厨房に向かった。
「今日もお客さんがいるんですか?」
「ええ、すべての部屋が埋まってますよ」
言い出しっぺが言っちゃいけないことだけど、こんな山の中に来て何が楽しいのかしらね? ゆっくりすることが目的なのかしら?
マヨネーズは民宿でも作っているようなので、ウルカの実から種を取り出し、火の前で乾かしてから石臼で粉にする。
分量はわからないので、四パターン作って試食する。どうです?
「これがいいですね」
ゴルックさんの決断で三番目のを基本とした。
専用の油揚げ鍋があるのでそこでウール肉を揚げ、ウルカマヨネーズを付けて食べてみた。
ウルカは肉に付けたほうがいいんじゃないか? と思わなくもないけど、賛成多数によりウルカマヨネーズは唐揚げのお供となりました。
「お客様にも出して意見を聞いてみます」
「はい。これ、もらって行きますね」
唐揚げはまだあるのでお皿に盛って家に戻った。
「……体力って大切なのね……」
もう何度目かわからない休憩をして、流れる汗を拭った。
「谷に下りたし、ここで野営しよう」
「う、うん、そうしようか」
ティナは山歩きに慣れているから汗一つかいてないわ。わたしがその域に到達するのは遥か先みたいね……。
「ボクは鳴子を仕掛けてくる」
「うん。わたしは火を焚いておくね」
マッチと枯れ枝があるのですぐに火がつき、持ってきた薪をくべた。
「ルル。見張りお願いね」
「はーい」
と、木に登って枝の上に寝そべった。
ルルは結界だけじゃなく攻撃手段も持っている。狼の群れくらい簡単に撃退出来たわ。
小川で汗を拭い、焚き火で体を温めたら夕食の準備に取り掛かった。
「キャロから休んでいいよ。ボクはまだ眠くないから」
見張りはその日の体調で決めておいたので、夕食を食べたらすぐに横になって眠りについた。
夜中に起きてティナと交代。また朝方ルルと交代する。
冒険は体力勝負なので、太陽が山の上に出たら出発した。
ウルカがなる山はそこなので、探しながら山を登った。
「結構生っているね」
山の中腹からここが群生地だとばかりにたくさん生っていて、山頂に着く前に背負い籠二つ分にはなってしまった。
「これ以上は使い切れないし、他の山菜を探そうか」
一生分のウルカを採ってしまった。これ以上は無駄になるから止めておきましょう。
「うん。じゃあ、ウグを採ろう」
ウグとはゼンマイ? ワラビ? みたいな植物で、先っちょだけ食べるらしい。
「天ぷらにしてみようか」
他の食べ方がわからないので天ぷらで食べてみることにする。
谷に下りて野営した場所で天ぷらを作る用意を開始。何だかんだと料理しちゃうわたし。これじゃキャンプに来てるみたいだわ。
「苦い山菜も天ぷらにすると美味しくなるから不思議ね」
猫が天ぷらを食べているのが一番の不思議だと思うけど、それはもう今さらか。何でも食べる猫なんだしね。
「そう言えば、獣が出て来ないね?」
実りの秋。いろんな獣が出て来ても不思議じゃないのに、まったく姿を見てないわ。
「秋は人も山に入るから獣は奥に逃げるか隠れるかしているんだと思う。山の奥に行けば食べるものもあるから」
「獣もバカじゃないってことか」
まあ、肉はまだあるし、出なくても問題ないか。山羊やウールも飼い始めたしね。
「ウグって他にどう食べるの?」
「鍋に入れるか塩漬けにしてたかな?」
そのぐらいしかないか。でも、マヨネーズ和えとかいいかもね。主食になるようなものじゃないし、和え物的で構わないでしょう。
マヨネーズはあるので出して付けて食べてみた。
「これはもう好みの問題ね」
予想出来る味なので、よくも悪くもないって感じだ。
「マヨネーズにウグをまぶしてはどうかしら? 唐揚げに付けると美味しいと思うわ」
誰よりもグルメなルル。味を合わせる想像も出来るようになっているわ。
「それは美味しいかも!」
ティナも味が想像出来たようで目を輝かせているわ。
「じゃあ、帰ったらやってみましょうか」
その日は早めに就寝。昨日同じ番で交代をして朝早く帰宅の徒に着いた。
冒険の修業になったの? とか家に着いてから思いはしたものの、終わりよければそれでよし。楽しかった、で構わないでしょうよ。
「お帰りなさい。成果はどうでした?」
「ウルカとウグがたくさん採れました。たくさんあるので使ってください」
ティナが背負っている籠を渡した。
「こんなによろしいので?」
これは鞄に入れた分をカモフラージュするためのものなので、わざと多いほうを渡したのよ。
「構いませんよ。まだたくさん生っていたので。シメたウールってあります? 料理に使いたいんですよ」
「はい。構いませんよ。何を作るんです?」
「唐揚げです。マヨネーズにウルカを混ぜて食べようかと思いまして」
「──では、うちで作りましょう」
と、民宿の料理長たるゴルックさんがわたしたちの間に入って来た。
「いいんですか?」
とはレンラさんに尋ねる。民宿の主だからね。
「どうぞどうぞ。わたしも食べてみたいですからね」
許可が下りたので、まずは家に戻ってお風呂に入って綺麗にし、料理に適した服に着替えて民宿の厨房に向かった。
「今日もお客さんがいるんですか?」
「ええ、すべての部屋が埋まってますよ」
言い出しっぺが言っちゃいけないことだけど、こんな山の中に来て何が楽しいのかしらね? ゆっくりすることが目的なのかしら?
マヨネーズは民宿でも作っているようなので、ウルカの実から種を取り出し、火の前で乾かしてから石臼で粉にする。
分量はわからないので、四パターン作って試食する。どうです?
「これがいいですね」
ゴルックさんの決断で三番目のを基本とした。
専用の油揚げ鍋があるのでそこでウール肉を揚げ、ウルカマヨネーズを付けて食べてみた。
ウルカは肉に付けたほうがいいんじゃないか? と思わなくもないけど、賛成多数によりウルカマヨネーズは唐揚げのお供となりました。
「お客様にも出して意見を聞いてみます」
「はい。これ、もらって行きますね」
唐揚げはまだあるのでお皿に盛って家に戻った。