ハンバーガーの評価は二重丸。ローダルさんもハンバーガーの虜となってしまった。
ただ、パンを焼く用の窯はないので、お風呂を造る職人さんにピザ窯を造ってもらうことにした。
それまではお城での販売が終わったらパン屋に回って丸パンを買って帰った。
「この世界、イースト菌ってないのかしら?」
パン屋で売っているパンはバゲットみたいなものやカボチャくらいある黒パンとかしかなかった。白くて柔らかいパンは売ってないのよね。
作り方はぼんやりと覚えているから作ろうかと思ったけど、なんで知っているか問われたら答えられない。作るなら皆が納得出来る下地を作らないとダメでしょうよ。この世界には酢があるんだからいくつかの段階を踏めば作れるはずだわ。
ハンバーガーも正確に言うならサンドイッチだ。まあ、誰もハンバーガーって知らないんだからハンバーガーと呼んでいるわ。
「どこかに薄い鉄板って売ってないですかね? それがあるとお城で焼けるんですけど」
「そうだな~。伝手はあるから相談してみるよ」
ローダルさんに相談したら伝手があると言うのでお願いしたら次の日には持って来てくれた。この人、伝手が多くない?
疑問に思ったけど、どうせ答えないだろうから気にしないことにした。
鉄板に油を垂らして馴染ませ、何度かクズ野菜で焼き慣らし、充分馴染んだら試しに肉を焼いてみた。まあ、やっているのはお母ちゃんなんだけどね。
お母ちゃんからオッケーが出たらお城でパテを焼き、薄く伸ばしたチーズを乗せてパンで挟める。これでどうだ!
なんて売り出したら次から次へとお客さん(兵士さん)が来て、持ってきたパテがあっと言う間に使い切ってしまった。
大盛況! なのはよかったのだけど、人気すぎて真似をする人が増えて豚肉の値が上がってしまった。
「困ったな。どうする?」
「どうするの?」
二人がわたしを見る。いや、どうすると言われても困るよ。わたしは猫型ロボットじゃないんだからさ。
「あ、豚肉を食べるなら腸詰めってありますよね?」
確かソーセージって豚の腸で作ってたよね? お肉屋さんでは売ってなかったけど。
「ああ。ミリーズ商会で売っているよ」
なんでもミリーズ商会の専売ってことになっているようで、屋台では売ってないんだってさ。
そのミリーズ商会に行くと、いろんな腸詰めが売られていた。が、なかなかの値段なのね。フランクフルトサイズのが銅貨二枚よ。
「買う人いるんですか?」
「結構買うぞ。まあ、大概、酒を飲むヤツが、だな」
酒のツマミってヤツか。お父ちゃんが飲まないからうちでは出なかったのね。
「銅貨二枚か。それだと銅貨七枚か八枚くらいにしないと損しちゃいますね」
材料費だけで銅貨三枚。人件費で銅貨二枚。純利益(?)は銅貨二、三枚ないとダメよね。
「お嬢ちゃんは、そういう計算も出来るんだな」
「え? 当たり前なんじゃないですか?」
「少なくとも当たり前ではないな。商売をしていても出来ないヤツはいる」
それは商売に向いてないのでは?
「……そういうものなんですね……」
やはり基礎学習がないと考えもつかないものなのかしら? そんな小説を読んでいたときは異世界人を頭悪くしすぎじゃない? とか思ったけど、出来る人は限られてくるものなのね……。
「まあ、そんなことより、銅貨七枚、いや、八枚を出して食事をする人っているものなんですかね?」
「それは料理次第だな。少し稼いでいるヤツなら飲み屋で銅貨十枚は使うし、そこまでじゃないヤツでも何日かに一回は贅沢したいと思って使うヤツもいるからな」
「駆け出し冒険者なら買わないってことですね」
「ま、まあ、そうだな」
そうだとすると銅貨八枚は二千円くらいになるのかしら? でも、お風呂使用量は銅貨二枚だ。ってことは、銅貨一枚は二百円くらいってことになるのか? 小銅貨は二十円?
どうも前世の記憶があるから前世の常識に引っ張られるわね。この世界の感覚に頭を合わせないと考えが狂っちゃうわね。
「で、腸詰めを売るのか?」
「いえ、焼いたパンの上に腸詰めを切って並べてマー油をかけて売ろうかと思います」
ホットドッグには出来ないのでピザ風に仕上げましょう。まあ、これもお母ちゃんにお願いするんだけどね!
「何か美味そうだな」
「キャロ、食べてみたい」
食いしん坊キャラになってない、この二人?
「はいはい。おじちゃん、切って焼いたら美味しいのってどれですか?」
「おう、それならマルリーラだな」
へー。ちゃんと名前があるんだ。
「じゃあ、それを十本と茹でたら美味しいものを二十本ください」
「あいよ!」
八百屋みたいなノリね。結構老舗っぽいのに。
銅貨五十枚のところを大量に買ってくれたってことで銅貨四十五枚に負けてくれたわ。
「また買いに来てくれよ」
「はい。豚肉が高くなっているので値上げしないでくださいね」
「うちは牧場を持っているから値上がりすることはないよ」
牧場を持っているなんて凄いわね。自社ブランドを大切にしているのかしら?
「それなら毎日買いに来ますね。あ、豚肉も売ってもらえるんですか?」
「欲しいってんなら売るさ。もちろん、値上げしてないから安心しな」
うん。次からは愛用させていただきましょう。
ただ、パンを焼く用の窯はないので、お風呂を造る職人さんにピザ窯を造ってもらうことにした。
それまではお城での販売が終わったらパン屋に回って丸パンを買って帰った。
「この世界、イースト菌ってないのかしら?」
パン屋で売っているパンはバゲットみたいなものやカボチャくらいある黒パンとかしかなかった。白くて柔らかいパンは売ってないのよね。
作り方はぼんやりと覚えているから作ろうかと思ったけど、なんで知っているか問われたら答えられない。作るなら皆が納得出来る下地を作らないとダメでしょうよ。この世界には酢があるんだからいくつかの段階を踏めば作れるはずだわ。
ハンバーガーも正確に言うならサンドイッチだ。まあ、誰もハンバーガーって知らないんだからハンバーガーと呼んでいるわ。
「どこかに薄い鉄板って売ってないですかね? それがあるとお城で焼けるんですけど」
「そうだな~。伝手はあるから相談してみるよ」
ローダルさんに相談したら伝手があると言うのでお願いしたら次の日には持って来てくれた。この人、伝手が多くない?
疑問に思ったけど、どうせ答えないだろうから気にしないことにした。
鉄板に油を垂らして馴染ませ、何度かクズ野菜で焼き慣らし、充分馴染んだら試しに肉を焼いてみた。まあ、やっているのはお母ちゃんなんだけどね。
お母ちゃんからオッケーが出たらお城でパテを焼き、薄く伸ばしたチーズを乗せてパンで挟める。これでどうだ!
なんて売り出したら次から次へとお客さん(兵士さん)が来て、持ってきたパテがあっと言う間に使い切ってしまった。
大盛況! なのはよかったのだけど、人気すぎて真似をする人が増えて豚肉の値が上がってしまった。
「困ったな。どうする?」
「どうするの?」
二人がわたしを見る。いや、どうすると言われても困るよ。わたしは猫型ロボットじゃないんだからさ。
「あ、豚肉を食べるなら腸詰めってありますよね?」
確かソーセージって豚の腸で作ってたよね? お肉屋さんでは売ってなかったけど。
「ああ。ミリーズ商会で売っているよ」
なんでもミリーズ商会の専売ってことになっているようで、屋台では売ってないんだってさ。
そのミリーズ商会に行くと、いろんな腸詰めが売られていた。が、なかなかの値段なのね。フランクフルトサイズのが銅貨二枚よ。
「買う人いるんですか?」
「結構買うぞ。まあ、大概、酒を飲むヤツが、だな」
酒のツマミってヤツか。お父ちゃんが飲まないからうちでは出なかったのね。
「銅貨二枚か。それだと銅貨七枚か八枚くらいにしないと損しちゃいますね」
材料費だけで銅貨三枚。人件費で銅貨二枚。純利益(?)は銅貨二、三枚ないとダメよね。
「お嬢ちゃんは、そういう計算も出来るんだな」
「え? 当たり前なんじゃないですか?」
「少なくとも当たり前ではないな。商売をしていても出来ないヤツはいる」
それは商売に向いてないのでは?
「……そういうものなんですね……」
やはり基礎学習がないと考えもつかないものなのかしら? そんな小説を読んでいたときは異世界人を頭悪くしすぎじゃない? とか思ったけど、出来る人は限られてくるものなのね……。
「まあ、そんなことより、銅貨七枚、いや、八枚を出して食事をする人っているものなんですかね?」
「それは料理次第だな。少し稼いでいるヤツなら飲み屋で銅貨十枚は使うし、そこまでじゃないヤツでも何日かに一回は贅沢したいと思って使うヤツもいるからな」
「駆け出し冒険者なら買わないってことですね」
「ま、まあ、そうだな」
そうだとすると銅貨八枚は二千円くらいになるのかしら? でも、お風呂使用量は銅貨二枚だ。ってことは、銅貨一枚は二百円くらいってことになるのか? 小銅貨は二十円?
どうも前世の記憶があるから前世の常識に引っ張られるわね。この世界の感覚に頭を合わせないと考えが狂っちゃうわね。
「で、腸詰めを売るのか?」
「いえ、焼いたパンの上に腸詰めを切って並べてマー油をかけて売ろうかと思います」
ホットドッグには出来ないのでピザ風に仕上げましょう。まあ、これもお母ちゃんにお願いするんだけどね!
「何か美味そうだな」
「キャロ、食べてみたい」
食いしん坊キャラになってない、この二人?
「はいはい。おじちゃん、切って焼いたら美味しいのってどれですか?」
「おう、それならマルリーラだな」
へー。ちゃんと名前があるんだ。
「じゃあ、それを十本と茹でたら美味しいものを二十本ください」
「あいよ!」
八百屋みたいなノリね。結構老舗っぽいのに。
銅貨五十枚のところを大量に買ってくれたってことで銅貨四十五枚に負けてくれたわ。
「また買いに来てくれよ」
「はい。豚肉が高くなっているので値上げしないでくださいね」
「うちは牧場を持っているから値上がりすることはないよ」
牧場を持っているなんて凄いわね。自社ブランドを大切にしているのかしら?
「それなら毎日買いに来ますね。あ、豚肉も売ってもらえるんですか?」
「欲しいってんなら売るさ。もちろん、値上げしてないから安心しな」
うん。次からは愛用させていただきましょう。