――そう、あの頃はまだ気づいていなかった。 俺の方が面倒見て世話焼いてるなんて思い込んでいた。 世話を焼かれていたのは俺の方で、環に寄りかかって安心していたのは俺の方だったなんて――なんでいなくなってから気づくのだろう。 澄んだ青空をバックにして、今日も俺はピアノを弾く。 二度と戻らないあの日の青空とよく似ていた。 亡き友へと捧げる一曲を。