目の前に、金色(こんじき)の光が咲き零れる。それは蝶だった。眩い煌めきの中で、翠緑の少女の凛とした声が響き渡る。



「主様に仕える片羽のひとり――楪」


 その名の通り、蝶のカタチを模した池が確かに、そこには存在した。中央には天を衝くような鳥居が堂々と存在感を示している。


 まさに神の領域であり聖域――月伽の瞳の奥は煌々と燃えている。


 もうすぐ、だ。


「そう、案内どうもありがとう」

「礼には及びません月伽様。ここでは、必然なのですから――では呼んでまいります」



 翠緑の少女は刹那に蝶へと姿を変え、迷う事なく池の中へと姿を消した。