「今日も来てくれたんだ。ありがとう」


 私の姿を見るや否や透真くんはそう言って微笑んだ。


 間違いなく昨日よりは生き生きとしていて、何か良いことがあったように感じさせた。



 「これ、好きか分からないけど……」


 そう言って恐る恐る押し花アートの入った紙袋を手渡す。

 「いいの?」


 「うん、開けてみて」


 透真くんは私に微笑んで、ありがとう、と言うと中身を取り出してじっと見た。


 あまりにも反応がないから、不快な気持ちにさせてしまったのかもしれない、と焦っていると、直後、透真くんが口を開いた。


 「ありがとう。これ、全部花なんだね」


 そう言う透真くんの目は潤んでいるように見えた。


 私はどう返していいのか分からず、ただ微笑んで目を逸らした。


 感情をすぐに露わにしてくれる透真くんは、それゆえ過度に気を遣う必要がないからか、一緒にいて居心地が良い。


 それは勿論同じ病と闘っているという理由もあるからなのだろうが、私の中ではそれと同じくらい関係していると思った。


 「俺、明日の検査の結果次第で退院できるみたいなんだ」


 「そっか、よかった」

 生き生きと話す透真くんに私は微笑んで返した。


 おめでとう、と言うのはまだ早い気がして言えなかったが、何もないのも冷たい人間のような気がしてその代わりに微笑んだ。