その日の放課後、「そんなに気になるならお見舞いに行っておいで」と星絆に送ってもらった住所を頼りに透真くんの家に向かった。
 

閑静な住宅街にある透真くんの家は、いかにも新築といった感じの家で、彼の爽やかなイメージにぴったりだった。

 
そんなことはさておき今日の目的は透真くんに会って謝ることが先だ。
 

もし無理でも、まずは今の体調だけでも聞いておくことにしよう。
 

そう思った私はすぐにチャイムを押した。

 
「どちらさまでしょうか?」


「透真くんのクラスメイトの東屋蒼来と申します。透真くんはいらっしゃいますか?」

 
声の主は透真くんの母のようで、それを聞いて私も名乗った。 
 

その声はとても穏やかで優しく、透真くんに似ていた。

 
「ちょっと待っていてね、今から行きます」

 
それから数秒で声がするのと同時に女の人が扉を開けた。

 
「あなたが蒼来ちゃんね。いつも透真がお世話になっています、透真の母です」

 
「はじめまして。いえ、私の方こそいつも透真くんに助けられてばかりで……」
 

なぜ私のことを知っているのかとも思ったが、透真くんが話したしか考えられなかったためにこの状況を受け入れてすぐに目的を思い出す。
 

「そうなの、うちの透真が……。せっかくだから上がっていったら?透真は2階の部屋にいるから、もしよかったら」 
 

「ありがとうございます。では、お言葉に甘えて……」
 

透真くんの母から提案を受けて、挨拶をしたうえで家に入る。
 

会いたい、なんてストーレートには言いづらかったからありがたい。

 
男子の家に入るのは初めての私は、緊張で身体が固まってしまう。
 

それを必死に表に出さないように隠しながら、ひとり、透真くんの部屋に向かった。