【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


まさか校長先生が、大勢生徒がいる中で2年前に在籍していた私なんかのことを覚えてくれているとは思わず、フルネームを言い当てられて少し驚いてしまう。

慌ててぺこりと頭を下げる。


「はい、お久しぶりです」

「本当、久しぶりだ。今日はどうしたんだい?」


優しい口調で問われて、ぎくっと体が固まる。


そういえば、先生たちに遭遇した時のことなんて全然想定していなかった。

もちろん、ここに来た理由を答えることなんて考えていたはずもなく。


慌てて言い訳を取り繕おうと思考を巡らせていると、隣から助け舟が出された。


「学校が違った俺に、中学校時代の思い出の場所を案内してくれてたんだよな」

「そ、そうです……!」


柊依のナイスパスに咄嗟に乗っかる私。


すると校長先生は白い口ひげを揺らしながら「ほっほっ」と笑う。


「そうかそうか。せっかくだから校舎の中も入ってみたらどうだい? 休みだからほとんど鍵が閉まっているけど、教室なら施錠されていないよ」

「ありがとうございます……! じゃあ、そうしてみます」


許可を得た私たちは、校舎の中に入ってみることにした。