【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように





バスに揺られ、太陽の下を歩き、そして見覚えのある大きな建物が見えてきた。


中学校に訪れるのは、高校の合格報告に来た時以来だ。

2年ぶりとはいえ久しぶりに訪れてみると、中学時代の日々が遠い記憶のように思い出される。


あの日よりほんのわずかに高くなった目線で、古びた3階建ての校舎を見上げる。


「ここが紫苑の通ってた中学か」

「うん、懐かしい……。仁香、もういるかな」

「探してみるか」

「うん」


砂場や鉄棒を懐かしく思いながらグラウンドを横切ると、昇降口横の花壇のところで水やりをしている初老の男性の姿を見つけた。

いつも水やりをしているその姿には見覚えがあった。


「校長先生?」


思わず声が漏れると、その声に男性がこちらを振り返る。

そして目尻に優しそうな皺が刻まれた瞳を、わずかにあっと開く。


「あ、もしかして君は逢沢紫苑ちゃん?」