【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


綺麗で荘厳な景色が放つ光に照らされていると、なぜか心の奥に兆すものがあった。

それは、夜明けまでは自分の中になかった決意の芽生え。


私は柊依の方に体を向けた。

そして決意を口にする。


「私に未来日記を貸してくれないかな」

「え?」

「未来を変えたいの。自分自身に決着をつけるために」


すると驚くように目を見張ったあとで、その瞳を緩くカーブさせる柊依。


なにも訊かずに「わかった」と答え、力強い言葉をくれる。


「俺は紫苑の味方だから。それだけは忘れんな」


いつからか、柊依の言葉は私の心の指針になっていた。

柊依がそう言ってくれるなら、私は強くなれる気がする。


気づけば頬が緩み、笑みと共に感謝の言葉がこぼれていた。


「いつも私のことを連れ出してくれてありがとう。私、柊依と見た景色を一生忘れないよ」


私の手を引っ張って、見たことのない景色をいくつも見せてくれた柊依。

強引で、でも優しくて、そんな柊依に私は何度も救われた。


胸に湧いた感謝の気持ちをじんわり抱きしめていると、柊依が拗ねたようにふいっと顔を逸らす。


「そういう可愛いこと言うの反則じゃね」

「え」


その頬と耳が赤いのは気のせいだろうか。

でも可愛いなんて言われてどきっとした私はもっとおかしい。


やっぱり柊依といると調子が狂う。

でもその感覚はなぜか嫌ではなかった。