【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


柊依はため息をつく。


「俺に謝ることじゃない。でもあんまり夜ひとりで出歩くな」

「……違う」

「え?」

「昨日……学校で、柊依にひどい態度とった……」


弱々しく消え入りそうな声。

けれどついに、ついに言ってしまった。


怖くて柊依の顔が見られない。

ぎゅうっと下唇を噛みしめ、俯いていると。


「そんなこと気にしてねぇよ」


柔らかい声と共に、ぐしゃぐしゃと乱雑に頭を撫でられる。


「……え?」

「気にしてたんだ。可愛いのな」

「ちょ……、ば、ばかにしないでっ」


頭の上の手を両手で掴み、無理やり引き剝がす。


するとまるでそれを待っていたかのように柊依がふっと表情を緩めた。


「ん、いつもの調子が戻ったな」


いつの間にか柊依のペースに乗せられていたらしい。

かっと頬が火照る。

どこまでいっても、私はこの市村柊依という男には敵わない。