「でも私には、夏鈴の悪口を言ったよね」
なにも言えない。
その理由は、喉の奥に石のようななにかが詰まり、声が出ないから。
そして声が出たところで、弁明の余地もないから。
金縛りにあったように瞬きもできないまま、私はただ夢奈の小さくうるうるとした唇が動くのを見ているだけ。
「ひどいよ。見損なったっていうか……ショックだった」
「だれにでもいい顔して、私たち、紫苑の本心がわからない」
「こんなこと言いたくないけど、紫苑は八方美人だよ」
夢奈と夏鈴の口から出る言葉たちが、鋭利な刃物となって私の心臓を深く貫く。
心臓から鮮血が噴き出す。
目の前が真っ暗になっていき、体が奈落の底に落ちていくのを感じた。

