【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように





『昨日はごめん。変なことを言って』


騒がしい教室の中、打った文字を数秒眺め、そして削除ボタンを連打する。


昨日からずっとこうしてスマホのメッセージアプリとにらめっこをしている。

相手はもちろん柊依だ。


もう何度も同じ文章を打っては消しての繰り返し。


謝ること自体は怖くない。

でも、それに対して柊依からどんな返事がくるか――それが怖いのだ。

もし拒絶の姿勢を見せられたら、私はきっと立ち直れない。


だから私はずっと現実から逃げているのだ。


「ふう……」とため息をついた時、教室のドアを開け、担任の先生が入ってきた。

先生が姿を現したのと同じタイミングで、チャイムが鳴り響く。


スマホに集中していたせいで、授業開始の時間が迫っていたことに気づかなかった。

慌ててスマホを、机に掛けたスクールバックの中に戻す。