柊依は私の心情なんて知る由もなく、こちらに近づいてきて、高い背を屈めて私の顔を覗き込んできた。
「どうかしたか?」
私を労わってくれる優しい声は、けれど今に限ってはひどく私の自尊心を逆なでした。
「なんでもないから、そっとしておいて……!」
学校の廊下には似つかわしくないほど大きな声が出た。
自分の声のはずなのに、それはびりびりと鼓膜を刺激する。
「あ、悪い……」
柊依の声ではっとする。
そして慌てて顔を上げれば、傷ついたような顔の柊依がそこにはいた。
やだ、柊依のこんな顔、見たくなかったのに……。
違う。柊依はなにも悪くない。
悪いのは私……。
渦巻く自己嫌悪に、息が詰まりそうになる。
それ以上そこにいるのはいたたまれなくなって、私はリノリウムの床を思い切り蹴っていた。

