【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


私の制止の念も振り切り、暴れ続ける心臓。


鎮まれ、鎮まれ、鎮まれ。


ぎゅうっと目をつむった時。


「……紫苑は菫、菫、言うけど、紫苑のことを見てる奴だってちゃんといるから」


頭の上から、ぼそっと声が落ちてきた。


「え……?」


一瞬、その言葉を理解することができなかった。

だって、両手では受け止めきれないほど、私にとって大きな言葉だったから。


やがてその言葉はじんわり、けれど急速に胸から全身に広がっていく。


目の奥が熱を持ち、溢れてしまいそうになる感情を押し込めるようにそっと下唇を噛みしめる。


ああ、今に限って、柊依の顔が見えないことが惜しい。

そんなことを思ってしまった私は、どうかしているのかもしれない。


頭上では飛行機が音を立て、水色の空を切り裂いていた。