【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「あと未来日記のこと菫にも話していい? 菫に隠しごとしてるって落ち着かなくて」


理由も理由だからダメ元で持ちかけてみると、こちらも思いがけなくもすんなりと許可は下りた。


「いいよ。菫のことは信用してるし。それにしても仲いいんだな」

「うん。菫は私の分身みたいな存在だから」


……出来は全然違うけど。

続きかけた言葉は喉の奥につかえて、引っかかる。


お互い空を見ている状況で、柊依に顔を見られていなくてよかったと思った。

きっと余計な感情が顔に出てしまっている気がしたから。

そして柊依は、そういう些細な変化に敏い。


菫と柊依。

傍から見れば、とてもお似合いのふたりの姿が、目の奥に思い出される。


「菫のこと好き?」


気づけば、ぽつりとそんな問いかけが口からこぼれていた。


「は!?」


隣で柊依が驚く気配。


そんなに驚かなくても。

そう思いながら私は少しだけ唇を突き出し、その発言に至った理由を並べる。


「だって仲いいじゃん。それに姉の私が言うのもなんだけど、菫のことを好きにならない男子はいない気がして」


小学生の頃からそうだった。

近づいてくる男子はみんな菫目当て。

男子に呼び出されたと思ったら、菫の連絡先を教えてだとか、仲をとりもってだとか。

みんな申し訳なさそうに頼んでくるから、余計にいたたまれない気持ちになった。

そうして募る劣等感を、私はいつも持て余していた。