【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「どうするの?」

「〝屋上の鍵が偶然俺の前に現れる〟と……」


柊依がさらさらとペンを動かす。

すると直後、チャリンと金属の音が、がらんどうな教室に響き渡った。


……うそでしょ。

信じられない気持ちのまま音がした方に視線を向ければ、埃を被った教卓の上に、鍵が置かれているのを見つけた。

さっきまでそこにはなにもなかったはず。

第一、職員室で保管されている鍵が、こんなところにあるはずもない。

つまりその鍵は、どこからともなく忽然と姿を現したのだ。


さすがにもう未来日記の効力を疑っているわけではないけど、その力を目の当たりにすると、やっぱりどうしても愕然としてしまう。


まるでマジックのようだ。

でもこれにはタネも仕掛けもない。

マジックというより魔法に近いのかもしれない。


「よし、行くぞ」


教卓の上から鍵を掻っ攫った柊依は、私の腕を引いて空き教室を駆けだした。