【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように





「は~、音楽めんどくさい……。谷セン嫌いなんだよね……」


移動教室のため、音楽室に向かう道すがら、夢奈が文句を呟いた。


音楽の谷先生は40代半ばの男性の熱血先生だ。

夢奈が最も苦手にするタイプ。

だから毎週音楽室に向かう道中は、夢奈の愚痴が止まらない。


でもそもそも選択科目は音楽にしようと言い出したのは夢奈だ。


私もすぐ喝を入れてくる谷先生が得意ではない。

というか音楽自体も得意じゃない。

合唱でも名指しでダメだしされるし、みんなが聞いている中ひとりで歌わされることも少なくない。

私は自分の歌声が好きではないから、音楽の時間は苦痛でしかない。


でも夢奈が、イケメンのクラスメイトが音楽を選ぶからという理由で、みんなで音楽にしようと言い張ったのだ。


ひとりだけ違う授業を選びでもしたら、爪弾きにされることは目に見えていた。

だから私には音楽を選ぶという選択肢しかなかったのだ。