【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


柊依はすぐそこにあった藤公園に私を連れ込むと、一脚だけぽつんとあるさびれた木製のベンチに座らせた。

そして私の前にしゃがみ込むと、右足のローファーを脱がせた。


「血出てるな」


柊依の言うとおり、白い靴下には赤い血の大きな染みができていた。


「だいぶ我慢してただろ」

「……そんなことない」


否定はしてみたものの、これだけ血が広がっている状況でなんの説得力もないことに気づき、言葉尻が小さくなっていく。


すると柊依はスクールバックを地面に置き、その中を探っていたかと思うと、なにかを取り出した。

それは絆創膏だった。


そして柊依は私の靴下を脱がせ、靴擦れを起こしていた傷跡に絆創膏を貼る。


「とりあえずの気休めだけど、ないよりマシだろ。ごめんな、ちょっと子どもっぽい絆創膏で」


柊依の言うとおり、私の踵に貼られた絆創膏のデザインは、子どもに人気のプリンセスだ。


「妹さんの?」

「ああ。よく転んでケガするから、常備してたんだ」


話をしている時の愛おしそうな表情に、柊依が妹さんのことを愛していることを窺い知る。

面倒見がいいと思っていたけれど、妹がいたとなれば、すべて合点が行く。