【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「あ。あの雲、ソフトクリームに似てね?」


少しでも早く歩いて柊依と肩を並べないよう頑張っているというのに、柊依は私の半歩後ろをこともなげに着いてきて、呑気な声を空に飛ばす。


それまで頑なに沈黙を貫いていた私は、我慢できなくなって柊依を振り返り、ずっと心にあった疑問をぶつける。


「なんで私に構うの?」


すると柊依はまっすぐに私の目を見据えたまま口を開く。

さっきまでのとは打って変わって真剣な声音で。


「なんとなく似てる気がするから、俺たち」


……似てないよ、ちっとも。

似てるどころか正反対。

私の気持ちを、柊依は理解できるはずがない。


そう思ったのに、なんでかそれを口にするのは憚れた。


代わりにふいっとそっぽを向いて、再び足を速く繰り出し歩き出す。


少しでも気を抜けば心の中に入ってきて、私の心の一番柔いところに触れてしまいそうで、だから私はきっと意固地になってしまうのだと思う。