【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


するとその時。


「あ、柊依じゃ~ん」


廊下の向こうから、女子ふたりが歩いてくる。

噂をすればなんとやらだ。


本来は膝丈と指導されているスカートを膝上まで折り、長い髪を綺麗に巻いているふたりは、見るからに一軍女子。

柊依のお仲間だというのは、一目でわかる。


柊依へと歩み寄りざま、なにこいつというあからさまな視線をぶつけられる。

男と自分が仲のいい女子以外はすべて敵だとでもいうような、そんな雰囲気がひしひしと伝わってくる。


今すぐこの場から逃げ出したいけど、今立ち去ればかえって根も葉もない勘違いをされることは目に見えていた。

私はテンプレートの当たり障りない笑顔を浮かべて、ぺこりと軽くお辞儀をする。


けれど女子たちはこちらに一瞥をくれただけで、次の瞬間にはもう私は意識の外。

その瞳には柊依しか映っていない。


「ねー、このあとみんなでファミレス行こって話してたんだけど、柊依も行かない?」

「あー……、俺、先約あんだよね」

「うそ~!」

「悪いけどあんまり遊べなくなるって他の奴らにも言っておいて」

「ええ! なんで?」

「最優先事項ができちゃったから、みたいな」


「柊依らしくなーい」と口を揃えて不満をぶつける女子たちに、「悪い悪い」と慣れたような笑顔でそれを躱す柊依。