【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


私が2時間かけて終えても、その労力なんて10分ほどで写されてしまうのだ。

スマホをいじるのも我慢して机に向かったというのに。

それなのに先生からの評価は同じなんて理不尽だと思う。


簡単な宿題は自分でやってきて、時間のかかるような宿題は毎度のことながら忘れてきたふりをする。

夢奈の常套手段だ。

そうして自分でもうるうるしていると自覚のある瞳で私に助けを求めてくる。


……最初から私が写していいと言い出すのを待っていたくせに。


そんなことを心の中で毒づいてしまう私は、きっと性格が悪い。

わかっているのに、黒い感情は抑えられない。


「もう、持つべきものは紫苑さま! 一生着いていきます!」


そんな見え透いたおだてはいいから。

心の声はそう言っているのに、私の口は正反対の言葉を放つ。


「ありがとう、夢奈。いつでも言ってね」


みんなが私を頼ってくる理由は至極当然。

私がどんなお願いも断らないからだ。


断って、嫌われるのが一番怖い。

昔からコンプレックスとなる存在が隣にいたからか、人一倍他人の目が気になる子どもだった。


みんなに〝いい子〟だと思われる、それしか私に取り柄がない。

だから必死に〝いい子〟を演じている。

そうすればみんなに好かれるから。

みんなに嫌われたくないから。


だから自分の心という泉に湧き出る黒い感情は見て見ぬふりをするのだ。