【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「ああ! やば! 宿題やってくるの忘れた……!」


お弁当を食べ終え、くっつけていた机を離そうとした時、タイミングを見計らったように夢奈が声をあげた。


ああ、またか。

聞き慣れたそのフレーズに、私はため息をつきたくなった。


「夢奈ってば、また~?」


にやにや笑っている夏鈴。


……私が切り出すのを待っている、その雰囲気に苦しくなって。


「私のでよかったら写す?」


窒息寸前で、自分の首に巻きついた鎖を解くように、私は机の中からノートを出した。


「えっ、いいの!?」


夢奈の目がきらきら輝く。

女子らしさをめいっぱい詰めこんだような、ふわふわした小動物みたいな夢奈。

そんな夢奈に見つめられたら、大抵の男はころっと揺れるのだろう。