【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように



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「それでさぁ、バスケ部のタッキーってば、私の傘に入り込んできたんだよ!? それで私が半分出ちゃってさぁ。ひどくない!?」


スパゲッティをフォークにくるくる巻きながら、夢奈(ゆな)がぷんぷんと頬を膨らませる。

文句を言っているはずの声はいつもより甲高い。


聞き飽きたくらいのモテ自慢にも、私は「脈ありだよ!」なんて囃さなければいけない。


夏鈴(かりん)はというと、夢奈の言っているのが建前の文句だとわかっているのかわかっていないのか、「え~! タッキーひど~い!」と夢奈に同調している。


夢奈、夏鈴、そして私の3人は去年からの付き合いだけど、夢奈と夏鈴は幼なじみ。

高校の入学式当日、私は同じクラスになった夢奈に声をかけられ、ふたりとグループになった。


すべての会話に同調しなければいけない。

なにか変化があった時はそれに気づいて褒めなきゃいけない。

トイレや移動教室の時には全員が連れ立っていかなきゃいけない。

SNSの投稿には全部いいねを押さなきゃいけない。

好きな人ができた時には全員に報告しなきゃいけない。


私たちの間を緩く縛りつける、そんな暗黙のルールがいくつかあることに私は気づいていた。


けれど私はグループに入れてもらった身。

一瞬でも気が抜けて、疲れた顔や嫌な顔なんてしたら、私はきっとあっという間に手を離され、ひとりになってしまう。


高校という閉鎖空間の狭い檻の中、私は自分の居場所を守ることに必死だ。