【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


私の返事の中に滲んでしまった〝YES〟の部分を、柊依は見逃さなかった。


「じゃあ」と言いながら、柊依がノートに挟まれていたノートを手に取り、明日――4月27日のページを開く。


「……そうだな」


少しの考える間のあと、柊依は迷いない手つきでノートにペンを走らせる。

そしてなにかを記すと、私にノートを差し出してきた。


「ん」


ノートを受け取ると、そこには柊依の少し角ばった字が並んでいた。


【高校の中庭に木が生える】


「は?」


思わず声が漏れる。


高校の中庭といえば綺麗で緑豊かなものを想像しがちだが、我が高校の中庭はまったく手入れがされていない。

木や花の類はまったくなく、雑草がのびのびと好き勝手に生い茂って荒れ果てている。


まぁたしかに、あのなんにもない中庭に突然木が生えたらびっくりだけど。


「よし、明日のお楽しみだな」


柊依が得意げに笑う。

頭の芯がくらくらするのは熱のせいだろうか。きっとそう。


昨日の夜、街に繰り出した時には、こんなことになるなんて思いもしなかった。


――これが、長いようで短くて、短いようで長い、私と柊依の物語の始まりだった。