【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


……いや、違う。

でもそれが、このノートが本物だという証拠にはならない。

すべての事態が起こったあとの今、そんな話をされたって、信憑性に欠ける。

摩訶不思議な事象が起こったのは本当だとしても、その前にこのノートが記されたという証拠はない。


その疑念は顔に出てしまっていたのだろう。

柊依がやれやれといった様子で小さく息をつく。


「信じらんねぇって顔してるな」

「だって、こんなこと突然言われたって……」


他になにか書かれているのか、そんな思いで、違うページをめくろうとする。

けれど「そこまで」と手を重ねられ、それは遮られた。


重なった手に意識を持っていかれたまま顔を上げれば、真剣な瞳がすぐそこにあった。


「なぁ、紫苑。ここに書いたことが明日実際に起こったら信じる?」

「場合によっては……?」


つい曖昧なトーンになる。


正直半信半疑だった。

普段の私なら信じられないと一蹴していたはずなのに、なぜか柊依の目を見ていると嘘をついているように思えなくて。