【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


一瞬、頭の中の時が止まった気がした。

耳の奥で、低い柊依の声が反響するけど、それは言葉としての実体をなさない。


「まぁ、こんなこと突然言われても混乱するよな。俺だって紫苑の立場だったら信じらんねぇと思うし」


お手上げというように頭をかく柊依。


柊依は冗談を言うようなタイプに見えない。

突飛な台詞と綺麗な顔はあまりにもミスマッチだ。

それに声だって眼差しだって、あまりにまっすぐすぎて、疑うことを頭がしてくれない。


柊依は自分の傍らに置いてあったなにかを手に取る。

それは水色の表紙の、どこにでもあるようなノートだった。


「これ。ここに書くと、その未来が叶う日記なんだよね」

「なに、言ってるの?」

「俺は”未来日記”って呼んでる」


柊依がノートを差し出してくる。


そこにはたしかに今日の日付である4月26日(Wed)のページに【高校が休校になる】と書かれていた。