【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「っていうかご家族は?」


空気を断ち切るように、ずっと気になっていたことを問うと。


「んー? いないから平気」


軽い調子で柊依が返してくる。


おそらく今いるのは柊依の部屋。

けれど広そうな家の中に、人の気配がない。


朝早くからもうご家族は仕事に出だしているのだろうか。

そんなことを考えたその時、私は唐突にあることに気づいた。


「ねぇ、待って! 今時間何時っ?」

「今? 8時だけど」


背後の壁に掛けてある時計を振り返りながら呑気に返してくる柊依。


だけど私はそれどころじゃない。


高校の始業時間は8時半。

8時時半を1分でも過ぎれば遅刻扱いだ。


今まで無遅刻無欠席を貫いているというのに、こんなタイミングでしくじることになってしまうなんて。