【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


わたしは自分の人さし指からリングを外し、そして柊依からのリングを右手の薬指にはめた。

それはとてもぴったり、わたしの指に収まった。


思わず涙にぐちゃぐちゃに濡れた顔を綻ばせる。


「へへ、おそろいだったんだね」


わたしは、柊依に贈る指輪を見つめた。


「やっと渡せるね、2年も経っちゃったけど」


貴方が私の理由。

そう刻み込んだいつかのわたしの気持ちが胸の中に流れ込んでくる。

やっとわたしは、無くしていた “理由”を見つけることができた。


未来日記を胸に抱き、滲んだ視界で空を仰ぐと、どこまでも果てしなく広がる空がわたしを見守っていた。

水色とピンクの混ざった優しい色を織りなす空は、やがて夜を連れてくるのだろう。


わたしの物語はこれからも続いていく。

柊依が繋いでくれたわたしという物語を、最期まで書き続けなければいけない。


君がくれた優しい明日を生きていく。


わたしは空に向かって、声を、想いを、紡いだ。


「愛してるよ、柊依。これまでもこれからも、ずっと」


刹那、優しい風が吹いて、頭上で空が笑った。


さあ、物語の続きを書きに行こうか。





Fin