【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


……でも、ううん。

助けてと、不甲斐なくも手を伸ばしてしまったのは私だ。

なんであの時、あんなことを言ってしまったのだろう。


「でも、看病までさせちゃうなんて……」


ぎゅうっと三角に折った膝を引き寄せる。


すると、市村が私の顔を覗き込んできた。


「じゃあ俺の言うことをひとつ聞いてくれたら許す」

「言うこと?」

「俺のこと、柊依って呼んで」

「え」


な、なにを言っているんだ、こいつは。


正気かという目を向けたら、意図せず市村と視線がかち合ってしまう。


まっすぐにこちらを見つめてくるガラス玉のような瞳の吸引力に、目を逸らせなくなる。

暗闇でわからなかったけど、こんなに透明感のある瞳だったなんて。


「呼んでくれなきゃ看病させたこと許さないから」


低く掠れる声が鼓膜を揺らす。