……でも、ううん。
助けてと、不甲斐なくも手を伸ばしてしまったのは私だ。
なんであの時、あんなことを言ってしまったのだろう。
「でも、看病までさせちゃうなんて……」
ぎゅうっと三角に折った膝を引き寄せる。
すると、市村が私の顔を覗き込んできた。
「じゃあ俺の言うことをひとつ聞いてくれたら許す」
「言うこと?」
「俺のこと、柊依って呼んで」
「え」
な、なにを言っているんだ、こいつは。
正気かという目を向けたら、意図せず市村と視線がかち合ってしまう。
まっすぐにこちらを見つめてくるガラス玉のような瞳の吸引力に、目を逸らせなくなる。
暗闇でわからなかったけど、こんなに透明感のある瞳だったなんて。
「呼んでくれなきゃ看病させたこと許さないから」
低く掠れる声が鼓膜を揺らす。

