【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


わたしは腕でぎゅうっと涙を拭い、天を仰いで鼻をすする。


冷たくなってきた風に涙がようやく乾くと、白い封筒をアルミ缶の中に置き、もうひとつのお年玉袋を手に取った。

それは柊依が入れたものだ。


震える指先でお年玉袋を手に取って、初めて気づく。

そのお年玉袋の裏側に、ひっそりと『椿へ』と書かれていたことに。


柊依がタイムカプセルに収めたものは、わたしに宛てたもの。

そう思うと緊張に襲われ、わたしは思わず目を閉じ、心を落ち着かせるため大きく息を吐き出していた。


そして意を決して再び目を開くと、お年玉袋を傾けた。

するとその拍子にちゃりんと音をたてて、なにかが手のひらの上にこぼれ落ちた。


きらりと光るそれは、シルバーのリングだった。


はっと息をのむ。

だってそれは、わたしが今人さし指にはめているリングと同じものだったから。

わたしが今着けているものよりひとまわり小さく、わたしの指のサイズで作ってくれたものだとわかった。


リングの内側を覗き込めば、やはりわたしのものと同じく刻印があった。

そこに刻み込まれた文字は――“Be Your Side”。


「……君の、そばにいる……」