【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「……ごめん」

「ん?」

「迷惑、かけて」


消え入るように言葉尻が小さくなっていく。


すると、ぽんと大きな手が私の頭の上に置かれた。

視線を上げれば、市村の柔い眼差しがそこにはあった。


「違うだろ」


今まで近づいたこともなかったし、さっきも暗くてわからなかったけど、市村の左の黒目の下に縦に並んだふたつのほくろがあることに気づく。

泣きぼくろとは違う、黒目を強調するような場所にあるふたつのほくろは、白い肌によく映える。


「そういう時はごめんじゃなくて、ありがとう、な」

「え?」

「助け求められて、嬉しかったよ、俺は」


優しさが、喉を締めつける。

窒息しそうになる。


本性をさらした私のことなんか、放っておいてくれればよかったのに。