【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


俺は息を大きく吸い込み、そして努めて冷静な声で菫に語りかける。


「菫、よく聞いてほしい。俺の家の2階の勉強机の上に、未来日記と日記帳がある。それを菫に預かってほしいんだ。頼めるか?」

『柊依……?』


状況を飲み込めずにいる菫が、不安に染まった声で何度も繰り返し俺の名を呼ぶ。


俺は自分の声がぶれることなく菫に届くよう、喉の奥に力を込めた。


「大丈夫。紫苑は俺が救うから」

『柊依……? なに言って、』

「……菫、今までありがとな」


一方的にそれだけ伝えると、菫の反応を遮断するように電話を切った。

そして脇目もふらずに勉強机に座り、未来日記を開く。


未来日記の大原則。

魂の数の帳尻が合わなくなるようなことは叶えられない。


ならば、俺にできることはひとつだけだった。


……要するに、魂の数さえ合えばいいってことだろ?

わずかに震える心の声で、未来日記にそう問いかける。


そう、きっと俺の残りの余命を紫苑にあげれば、紫苑を救うことができる。