――紫苑。
その名が悲鳴によって放たれた瞬間、ぱりんと心臓にひびが入った音がたしかに聞こえた。
瞠目した瞳に映る景色が真っ暗になっていく。
背中に氷水を差し込まれたように急激に体が冷えていき、がたがたと体が震える。
わずかに開いた口から、ひゅうひゅうと息が漏れる。
──『大丈夫だよ。私が柊依の隣にいる。絶対に離れない。私は柊依のそばから消えたりしない』
宝物として大切にしまい込んでいた紫苑の声が胸の中にあふれて、息ができなくなりそうになる。
うそ、だろ……。
なんで、なんで、紫苑が。
『どうしよう、柊依……。紫苑が子どもを助けようとして、トラックに撥ねられて、今救急車を待ってるところで、ああ、やだ、どうしよう、どうしたら……!』
呂律の回らない舌で、思考がパンクしてしまっている頭で、菫が必死に俺に助けを求める。
低音で騒がしく走り続ける鼓動とは裏腹に、頭が冷静になっていくのを感じていた。
俺のすべきことが、まるで一筋の道標を示されたように明白になったからだ。
「……大丈夫だ、菫。俺がなんとかする」
『え? 柊依……?』

