【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように





高校に入学し、菫と友達になり、俺は双子の姉である彼女のことを一方的に見つけた。

そして知る。

彼女の名が紫苑ということ。

それから、いつも自分を偽り“いい子”を演じていること。


紫苑を遠くから見ながら、偽物じゃなく本物の笑顔が見たいと思った。

だって紫苑を見るたび、似合わない不自然な作り笑顔でいるから。


そんな心残りが、俺に1年という猶予を与えたのだと思う。


けれど紫苑との接点を作れないまま、迎えた今年の4月25日。

俺は発作的に襲ってくる消えたいという衝動を抑えきれず、ふらふらと夜に逃げ込んだ。

そうしてその日、夜の街で偶然紫苑と2度目の“出会い”を果たした。


夜の街で迷子のような目をした紫苑を、放ってはおけなかった。

あの日、紫苑を見つけたのが俺でよかった。


でも唯一の誤算は、こんなにも紫苑のことが大切になってしまったことだ。

俺は来年、君の隣にいられない。

それなのに、俺は君といるとそのことを忘れてしまう。

そうして少し、ほんの少しだけ、馬鹿げたことを考えてしまうんだ。