【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように





「うーん、どうしよう……」


ある日の夜、私は自室でぐるぐる円を描くように同じところを歩いていた。


『タイムカプセル作らないっすか、紫苑さん』


わざとかしこまった口調で柊依が切り出したのは、昨日のこと。

帰り道、並んで歩いていたら、柊依が突然思いがけないことを提案してきた。


タイムカプセルなんて、話題に出たのはたしか小学生以来。

それはとても魅力的な響きだった。

わくわくした好奇心が込み上げてきて、答えはもちろんイエスしか端から頭になかった。


──柊依が背負う過去を話してくれたあの日から、3週間が経とうとしていた。

翌日から今日に至るまで、柊依はあの日のことがなかったように振る舞っている。

だからあれ以来、私も話題にはしていない。

柊依はいつも笑顔だ。

でもその中に、気負うような無理の色は見当たらなくなった。

本当に僅かだろうけど肩の荷が少しだけ降りたのだろうなというその実感に、私は安堵していた。