【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「逃げることも間違えることも弱音吐くことも、なんにも悪いことじゃないって、柊依が私に言ってくれたんだよ。苦しい、悲しい、つらいって叫んでる柊依の本当の気持ちを見逃さないであげて。私はもう柊依をひとりで泣かせたくない」


だって、柊依に出会って、初めて私は私になれたんだ。


柊依の心に届いてほしい。

拙い言葉を繋いで、泉のように溢れる感情を必死に紡ぐ。


すると柊依が俯き、右手で荒く目元を覆った。

そして。


「……俺のせいだったんだ」


消え入りそうな声をぽつりと落とす。

それはまるでずっと胸の底にあって心を苛んでいた罪を初めて懺悔するように。


私はこらえきれなくなって、柊依の体を抱きしめていた。

そうしていなければその輪郭が崩れてしまいそうなほど、柊依が脆く見えたから。


「俺が、言ったんだ。親に。春休みだったから。たまにはなずなを遊びに連れてってあげれば、って」


柊依を雁字搦めにしていた〝罪〟の告白。


掠れた声が、濡れて震えている。


いつだって私を包み込んでくれた大きな体が、今はひどく小さい。

触れた部分から、熱と共に彼の深い悲しみが伝わってくるようだった。


あの大きな真っ白な家の中で、何度孤独に打ちのめされそうになったのだろう。

そして何度自分を責め、眠れない夜を過ごしたのだろう。