【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「中学ん時、交通事故で両親となずなが交通事故に遭った。4人家族だったのに突然独りになった」


柊依の口からその事実が語られると、いっそう胸が張り裂けそうになる。


可愛くて仕方ないと、そう言っていたなずなちゃんとご両親を喪って、平気なはずがない。

人一倍愛情の大きな柊依が、その愛を喪って、どれほどの悲しみに襲われたことか。


「気づけなくてごめん」


おんぶをしてくれた時、私は柊依になずなちゃんの話を聞いた。

その時、柊依はどんな顔をしていたのだろう。

どんな顔をさせてしまっていたのだろう。


「紫苑が謝ることじゃねぇだろ。大丈夫だよ、俺は平気だから」


柊依がくしゃりと眉を下げて笑う。

そう、いつもの上手な隙のない笑顔で。

でもこれまでにこの目で見てきた柊依の本物の笑顔じゃない。

柊依は全然笑えていない。


「どうして笑うの」


咄嗟に、涙に濡れた声が柊依を非難していた。