【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「たまにはいいでしょ」

「うん、ちょっとどきどきしたわ」


ちゃらけたトーンで言いながら、柊依が私の隣に立つ。


「で? どした、紫苑ちゃん?」


まずい。

どう話に切り込んでいくか、柊依を前にしたら頭がうまく回らなくなってしまった。


助けを求めるように咄嗟にあげた視線。

その先に飛び込んできた空を、しどろもどろになりながら無理やり話題にする。


「そ、それは、青い空が、いいなあって思って」

「それだけじゃないだろ」

「うっ、えっと、そうだ、今日の朝ごはんはなに食べた?」

「え、朝? ふつーに白米だけど。紫苑は?」

「私はフレンチトーストだった」

「めっちゃ朝から豪華じゃん」

「今日はお母さんの機嫌がよくて……」


言ってから、はっと口を噤む。

けれどそのあとすぐ、後悔したことを後悔した。

違う、変に気を遣いたいわけじゃないのに。

腫れもの扱いなんかせず、普通に接したいのに。