【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


すると菫は肩で切り揃えられた黒髪を揺らし、得意げにふんと鼻で笑う。


「それはよかった。予想通りあんたの負けだったけどね」

「ええ、それはもう完敗でした……」

「そりゃそうね。あんた、柊依を好きって気持ちがだだ漏れだし」

「え、うそ!」


思いがけない指摘に、私は目を丸くする。


「あんたの顔は正直だから。柊依にバレるのも時間の問題なんじゃない?」


なんでもお見通しな菫に、私はたじたじだ。

妹に気持ちがバレバレだというのは、なんとも恥ずかしい。


私は立ち止まり、自分の影を見つめながらぽつりと声を落とす。


「でも……うん、告白しようと思う」


心の中でぼんやりと少しずつ輪郭を作り出していた思い。

言葉にして改めてその決意が固まった気がする。


どんな反応をされるかと恐る恐る睫毛を持ち上げると、そこにいる菫はひどく優しい顔で私を見つめていた。


「いいんじゃない」

「え?」

「きっとあんたは柊依にとって、あんたが想像するよりもっと大切な存在になっているはずだから。事故の音が聞こえた時、柊依は血相を変えてあんたを探しに行ったわ。柊依はあんたを喪いたくないのよ」


柊依の声が鼓膜の奥で蘇る。


あの時の柊依はひどく怯えていた。

目の前にいるのに、迷子になってしまったみたいに。