どれくらいそうして走っていたのだろう。
やがて赤信号が点滅する交差点まで来ると、市村がようやく足を止めた。
「ここまで来れば大丈夫だろ」
肩で息をきらしながら市村がこちらを振り返る。
規則正しく点滅する赤いライトに照らされて、暗闇の中に市村の顔が浮かびあがる。
「平気?」
「う、うん、平気」
はぁはぁと乱れきった呼吸の合間に答える。
すると市村がいたずらげに口の端を吊り上げた。
「これで立派な不良少女だな」
「……うるさい」
……でも、本当はとても気持ちよかった。
飛べそうだと、そんな馬鹿げた錯覚をしてしまうほど。

