【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように


「きゃっ」


その衝撃に、思わず手に持っていたビニール袋を落としそうになる。


反射的に竦めた首をおそるおそる回して、音がした方を見れば、反対車線の道路で乗用車2台が追突事故を起こしていた。

午前中雨が降っていたから、濡れた路面でスリップしたのかもしれない。


大丈夫だろうか……。

恐怖と不安で立ち尽くしていると、2台の乗用車から運転手が出てきた。

幸いにもふたりには大きなケガはないようだった。

通行人にも被害はなく、わらわらと寄ってきた人たちがスマホで頻りになにかを話しているから、じきにパトカーや救急車が来るだろう。

ひとまず私の出る幕はなさそうだ。


不安に後ろ髪を引かれるようにしながらも、歩き出したその時。


「紫苑っ……」


突然、空を切り裂くように名前を呼ばれた。


顔を上げれば、前方から焦りに染まった柊依がこちらに向かって走ってくるところだった。