「だめだ……。こんなの永遠に獲れる気がしない……」
クレーンゲームの中にいるクマのぬいぐるみを前に心が折れて項垂れていると、不意に背中にとんと柊依の胸元が当たった。
そしてクレーンを操作するレバーを持つ手に、柊依の手が重なる。
クレーンゲームと柊依に挟まれる形になり、心臓が全速力で走り始める。
「ほら、こっち」
クレーンを操作しながら、柊依の吐息が耳に吹きかかる。
甘い香水の香りが鼻孔をくすぐる。
突然迫った距離に、私はクレーンゲームどころではなくなり動揺して目を泳がせる。
それに今下手に動いたら、私の頭が柊依の顎にクリーンヒットし、大惨事になってしまう。
その間にも、クイックイッと器用にレバーを操作し、ぬいぐるみを持ち上げてみせた柊依。
そして気づけば、私はほとんど操作しないまま、ぬいぐるみが出口に落ちていた。
「獲れたじゃん」
出口から取り出したぬいぐるみを、柊依が私に差し出してくる。
獲ったのは柊依だよと、そう言えるほどの余裕をなくしていた私は黙って受け取り、こくりと頷く。
せっかく私がかっこよくプレゼントして、柊依をドキドキさせようと思ったのに。
これじゃ私がやられてしまっているではないか。
やっぱり私は、どこまでいっても柊依には敵わない。

