【完】桜の降る日、君の隣で死ねますように





菫はゲーム開始を告げると、私と柊依を置いて、軽やかな足取りでさっさと去って行ってしまった。


ゲームについては承諾したものの急展開についていけず、呆気にとられるばかり。


「じゃ、行くか」

「うん……、そう、だね」


柊依の声ではっと我に返る。

並んで歩きだそうとすると、柊依が手を差し出してきた。


「え?」


なにかを要求されているのかと首を傾げると、焦れったそうに手を掴まれた。

そして指と指を絡められ、手を引っ張られる。


突然手を繋がれ、私の心臓はどくんと重い音を立てて脈打つ。


「ちょ、ちょっと」

「もうゲームは始まってるぞ。恋人なんだから手くらい繋ぐだろ」


腕を掴まれたことはあっても、こうして手と手を繋いだのは初めてで、すべての意識が手のひらに集中してしまう。

私の手を包み込むその手は大きいのに優しくて、大切に触れられているのがわかる。


手を繋ぐ、たったそれだけのことがこんなにも心を乱す行為だとは思わなかった。